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 お客様から保坂和志の『カフカ式練習帳』をお譲り頂きました。

保坂和志『カフカ式練習帳』

 わたしが初めて保坂和志を知ったのは、YouTube上にジュンク堂からオフィシャルでアップされている、『保坂和志×山下澄人 書く気のない人のための小説入門』という対談動画でした。それから何度この映像を繰り返し観たかは思い出せませんが、保坂和志の文章も語りも、普段脳の使っていない部分を触られるような自由闊達さがあり(横滑りしていく思考も、飽きたらやめてしまうところも)「あぁ、もっといろんなことを考えてみたい、もっと読んでみたい」と歓びと高揚感でいっぱいになってしまいます。

保坂和志の著作の中には、小説だけでなく、『小説の自由』『小説の誕生』『小説、世界の奏でる音楽』というクレスト装の小説論三部作があります。新旧問わず古今東西の小説、宗教書、哲学書などのさまざまなテキストから絵画、映画、彫刻、実人生の体験などを交えながら「小説とはなにか」を前へ、前へ推し進めていく本なのですが、テクニックや話法、展開の仕方などの既存の小説論から遠く遠く離れた場所で書かれており、もはや小説だけにとどまることなく、わたしはこれを何度も読むにつれて世界の知覚の仕方そのものが書き換わってしまうような体験をしました。

『小説の自由』の目次は
第三の領域
私の濃度
視線の運動
表現、現前するもの
私の解体
それは何かではあるが、それが何なのかは知りえない
私に固有でないものが寄り集まって私になる
身体と言語、二つの異なる原理
彼が彼として生きる
病的な想像力でない小説
視覚化されない思考
散文性の極致

と分かれていますが、もう何度読んでも面白い!視界が開けていくような開放感と喜びを感じるのですが、どこが、どう面白いのかうまく指させない面白さで、ただの信仰告白のようになってしまっていますがとにかく面白い。

保坂和志の薫陶をへて、磯崎憲一朗や山下澄人という小説家が出てきましたが、この二人と保坂自身も共通している書き方は、事前にプロットをつくらずに、目の前の一文を書いていくことです。彼らの本を読んでいくときに、共通している感覚は、いったい長々と何の話をしているのからわからず、どこに連れていかれるのかもわからないのに、ずっと面白いという点です。作品が作者に従属しておらず、小説が作者を超えて、書くことに、小説に奉仕しているという印象をわたしはうけます。

決して何か前向きなことや紋切り型のポジティブな言葉が書いているわけでもないのに、圧倒的に彼らの文章から力強い世界の肯定を感じるのは、結論も結末もなく目の前の一文を書いていくこと、が、目の前のこの生を未来に従属させることなく生きることにも似ているからでしょうか。

息苦しい時こそ、わたしは保坂和志の本を開きます。

 タテ


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