岡本太郎『黒い太陽』(美術出版社、1959年)が入荷しました~黒と赤

 先日は東京都北区のお客様からのご依頼で、即日の買い取りにうかがいました。ほぼ新刊のビジネス書、実用書をお譲りいただきました、ありがとうございます!
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 最近、くまねこ堂にこんな本が入荷しました。

岡本太郎『黒い太陽』

 岡本太郎『黒い太陽』(美術出版社、1959年)です。本書は美術雑誌・芸術雑誌等に掲載された岡本太郎のエッセイを集めたものです。その時々の時論を収録した著作ゆえか、『黒い太陽』は「岡本太郎の歴史」において位置づけが難しいのでしょうか。東京国立近代美術館の図録『生誕100年――岡本太郎展』(2011年)でも、作品リスト中にその名が見られるのみです。

 「岡本太郎 黒い太陽」でネット上で検索すると、太陽の塔の裏側の「黒い太陽」がヒットします。しかし、太陽の塔の表側の顔の周りは赤色で装飾されています。ひょっとすると、岡本太郎にとっての「黒」は、これ単体で成立するものではなく、「赤」を伴うものであったのかもしれません。

 そのように考えるのは、岡本太郎の1961年の作品「赤/Red」の存在があるからです。時期的なことでいえば、エッセイ集『黒い太陽』がその2年前に刊行されていることになります。前出の図録『生誕100年』をみた印象でも、1960年代から、作品中の赤と黒との対照が際立っていく感じがします。

東京国立近代美術館の図録『生誕100年――岡本太郎展』(2011年)▲東京国立近代美術館の図録『生誕100年――岡本太郎展』(2011年)より

 わたしは、「赤/Red」が大好きです。酸素を十分に含んだ血液と、酸素を失って黒くこびりついた血痕との対比が、何かモノを考えるきっかけになるような気がして、活力が湧いてくるからです。

 そのような解釈もあながち間違いではないのでは、と思わせる文章が、エッセイ集『黒い太陽』12頁にあります。以下に引用します。

 「よく極めれば、芸術論というものはむしろ芸術創造に対する強力な制約でありアンチテーゼである。つまり芸術否定の要素である、内からつきあげてくる芸術的衝動を逆に規制して行く力。その内部衝動と外部制約のぶつかりあい、対決によって作品が生み出されるのである。」

 酸素充満の血潮は、いつでもドス黒く変色する可能性があります。この緊張ないし恐怖から生まれる活力をそれぞれの仕方でつかめ! と「赤/Red」が鼓舞しているような気がしてなりません。

 ところで、入荷した『黒い太陽』には、こんなチラシが挟み込まれていました。

岡本太郎講演チラシ

 「縄文との出会い」「第1次産業革命」などのメモ書きが確認できます。おそらくは、時間・空間を超えた興味深い講演内容であったことでしょう。

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小野坂


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