スピッツ「空も飛べるはず」と「めざめ」について

【🌴くまねこ堂は今月休まず出張買取を行います!!🎐】
都合がつけばご連絡いただいたその日にお伺いすることも可能です。
是非お気軽にお問い合わせください!

最近は休憩で事務所から出ると、昼の気だるさを感じます。真夏が近づいているけれど、まだ振り切ってはいない感じ。自分は真夏に立ち向かう勇気はありません。困りました。しかしそんなことを思っているうちに、いつの間にか涼しくなり、寒くなって雪が降ってしまうのでしょう。相変わらずの日常が繰り返されていることだけはよくわかります。困りました。

そんな思いの中、鬱屈を吹き飛ばしてくれそうな、なんとも爽やかなジャケットのCDを発見しました。
スピッツの「CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection」です。

スピッツ 空も飛べるはず

ボーナスディスクがついていて、そこには「めざめ」という曲が収録されています。

スピッツ 空も飛べるはず

ブックレットの竹内修の解説によれば
  1993年12月24日(クリスマス・イヴ!)に一日でデモ・レコーディングされた「空も飛べる 
  はず」のプロトタイプ。完成版とは歌詞もメロディも少し違っているが、基本的なアレンジ、
  ギター・フレーズなどは既に固まっているのが確認できる。
とのことです。

このボーナスディスクの「めざめ」を聴いていて、気付いたことがありました。「空も飛べるはず」サビの
  君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
は、「めざめ」では
  君と出会えた痛みが この胸にあふれてる
となっているようです。

君と出会えたことは、痛みではなく奇跡だと変更されている。これは重要な違いです。

「空も飛べるはず」の「君」の行為について考えてみると、
  幼い微熱を下げられないまま 神様の影を恐れて
  隠したナイフが似合わない僕を おどけた歌でなぐさめた
とあり、大人として諦めたり冷めたりすることができず、他者や自分を傷つけるような性質を秘めて過ごしていた「僕」を、「君」が慰めたことがわかります。しかしそれは「おどけた歌で」とされていることから、「僕」にとっては、誤魔化しているではないかとか、「僕」に真正面から向き合っていないのではないかと思わせることもあったのかもしれません。

また、
  切り札にしていた見えすいた嘘は 満月の夜にやぶいた
  はかなく揺れる 髪のにおいで 深い眠りから覚めて
ともあり、「僕」は「君」と親しい仲になる中で、嘘をつくことをやめたことがわかります。

「空も飛べるはず」のサビでは、「夢を濡らした涙が 海原へ流れたら」とあります。この曲全体としては、「僕」が少年性を保ったまま夢を追っていたところから、「君」との出会いで大人になってしまうこと、その移り変わりを詩にしているようです。
一人で尖って嘘をつきながら頑張っていた少年は、「君」との出会いで、二人で生きていくようになる。「僕」は夢を追うのではなく、君と生きていくことを選ぶようです。でも「夢を濡らした涙が 海原へ流れたら」とあるので、挫折に挫折に泣ききって、思いも行くべきところへ行きつき、自分がそれに苛まれることもなくなって初めて、それはかなうようです。「夢『を』濡らした涙」であるから、「夢」自体を「僕」は捨てた訳ではないのだろうけれど、「僕」は夢ではなく「君」に頼って、一緒に生きていくことにしたのです。

また、「色褪せながら ひび割れながら 輝くすべを求めて」とも歌詞にはあるので、ボロボロになりながらも自分を世界に認めさせようとしたが、しかし実際に世界で「きらめく」のは「ゴミ」だという思いが「僕」にはあるようです。しかし、それでも「君」と一緒に生活をしていきたいのだという思いに行きつくことが、繰返される「ずっとそばで笑っていてほしい」には表れています。

「君」との出会いで「僕」は夢を持った少年から、それのために生きるのではなく、誰かと生活していくことに喜びを見い出すような大人に変化しました。「空も飛べるはず」の「君と出会えた奇跡」という言葉からは、純粋な幸福を感じてしまいそうですが、「めざめ」では「痛み」とされていたことも考えるなら、「僕」の抱えている思いはなかなか複雑であることがわかります。「僕」は「君」のお陰で、孤独とか際限ない夢の追求とかから脱したのだけれど、それは救いであり奇跡なのだろうけれど、やはりそこには痛みがあったのだと。
でもそのような変化を経るなら「きっと今は自由に空も飛べるはず」と歌詞の中では言われています。「空を飛べるはず」なんて言葉は無邪気な少年に似つかわしく、夢を感じさせるようでもあるから、大人になる過程での「僕」の苦しみを考えるなら、それは皮肉にも聞こえそうなくらいです。

「空も飛べるはず」は何度も耳にしたことのあった曲ですが、今回プロトタイプの「めざめ」を聴いて、これはただただ幸せな曲なわけではないのだと、初めて気付けました。
そしてスピッツの怖さも改めて感じて、面白く思いました。草野マサムネ、そしてスピッツにかかれば、どんな残酷も非情も美しい言葉になり、さわやかな声と音楽になってしまうのだなあと。それはもちろん魅力でもありますが。

爆速でこのブログも書いてしまいましたが、「空も飛べるはず」も「めざめ」も、もっと腰を据えて一句一句ねちねちと解釈したなら、思わぬ発見ができるはずです。例えば「夢」をとりあえず「僕」の「夢」としましたが、「君」の「夢」であることも考えられるし、その場合は大分様子が異なってくるはずです。曲の綺麗さで見逃してしまいがちですが、歌詞はかなり難しく重い気がします。また、せっかく「めざめ」を持ち出したのに、「空も飛べるはず」との対照がまだまだできていません。様々、時間をかけて、じたばた格闘してみたいです。しかし、それは今日のうちにはかないませんから、とりあえずこのブログはそのような自分の見通しを示しただけで終わりになります。中途半端に散らかしたばかりでありますが、お読みくださりありがとうございました。

 

くまねこ堂では、古本やDVD/CDの他にも、古道具や骨董品、アクセサリー、切手、万年筆、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取も行っております。
ご処分をお考えの方、またご整理などでお困りのお客さまは、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。いろいろなご提案ができるかもしれません。
お電話またはメールフォーム、LINEにて、まずはお気軽にお問い合わせ下さい!スタッフ一同心よりお待ちしております!

コトー

 

人気ブログランキング
人気ブログランキング

 

お問合わせ・買取のご依頼

お問合わせ・ご相談は無料です。お気軽にお問合せ下さい。

メールでのお問い合わせ

お問合わせ・買取依頼

関東エリアなら即日買取りもご相談下さい!
チェーン店が積極的に引取りをしないマニアックな本や、内容は良いけど状態の悪い本などもお任せ下さい。

買取のご依頼はこちら

お電話からのお問い合わせは 0120-54-4892

受付時間:9:00~23:00定休日:年中無休


よろしければシェアお願いします

2023年7月に投稿したくまねこ堂の記事一覧

くまねこ堂 古本出張買取対応エリア

東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城を中心に承っております。詳しくは対応エリアをご確認ください。

PAGE TOP