遠い宇宙に思いを馳せてー「SF宇宙生物図鑑」紹介ー

もう7月も終わりですね。朝事務所まで全力疾走すると汗だくです。冬ならこんなことはなかったのに。早く涼しくなってほしいものです。

最近観た映画の話から入りたいと思います。先日自分は「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(2022年・アメリカ・ダニエルズ監督)という映画を観ました。その映画の中では、宇宙は泡のようにたくさんあり、そのそれぞれは、宇宙史や生命史、人類史、並びに個人における「もしあの時こうだったら・こうしていたら」の世界であるという設定でした。もし駆け落ちをしなかったら、自分はハリウッドスターになっていた、とか。スーパーシェフになっていた、とか。
映画にはそのようにして様々な宇宙が登場しますが、その中でも面白かったのは、指がソーセージになっている人類の世界でした。指ソーセージ人類がホモ・サピエンスを淘汰した世界線では、人々の指はソーセージで、お互いの指ソーセージをもぐもぐし合い、足でピアノを弾いていました。
SFの想像力ってすごいなあと思った次第です。

そんな映画の記憶がある中で、事務所で目に留まった本がありました。「SF宇宙生物図鑑」(ウェイン・ダグラス・バロウ、イアン・サマーズ、ベス・ミーチャム著 、吉岡雄一郎訳、心交社、1994年)

SF エイリアン

例えばこれ。「ABYORMENITE」という生物らしいです。ハル・クレメントの「CYSLE OF FIRE」 に登場するとのことです。

SF エイリアン

身体的特性を見ると

ABYORMENITEは無性生物で、体調はおよそ1.2メートル、球根のような胴体を、六本の強靭な触手で支えている。丸みを帯びた胴体のてっぺんには口蓋があり、その口を使って呼吸し、話すこともできる。…(中略)…彼らは音の反響の周波数を感じ取って周囲を“見る”のである。…(後略)…(p14)

とあります。設定が細かく決まっていて、本当にその生物がいる気がしてきます。SFの面白さの一つは、フィクションであるその世界でのリアリティの追及が尽きないことにあるように思います。その世界はその世界として、言葉により完全に構築されています。

またぱらぱらめくってみます。「BLACK CLOUD」です。フレッド・ホイルの「THE BLACK CLOUD」に登場するとのことです。

SF エイリアン

これは「知性を有した雲」(p18)です。その文明については

それぞれの固体は遠く離れて存在しているが、特定の周波数の電波を使ってお互いにコミュニケイションを取っている。彼らはこの“遠距離会話”で、数学や哲学、宇宙の本質などについて語り合っている。(p18)

とあります。あまり自分はSFを読んだことがないので、「知性を有した雲」という言葉にこの図鑑で初めて出会いました。そしてそのイメージを今獲得しました。そんな者たちが自分が認識できない範囲にいて、広い宇宙を通じて語り合っている…そんなこともあるのかもしれない…きっとそうなんだ…。現実感を持ってその感覚が迫ってきました。

こんなものもいました。「SLASH」と言います。ピアズ・アンソニイの「KIRLIAN QUEST」に出てきます。

SF エイリアン

その文明の説明として

銀河大戦の初期、SLASHは惑星を襲い、住民たちを奴隷化しながら巨大な帝国を築きあげた。しかし、SLASHを盟主と仰いでいたアンドロメダ連合は、やがてレジスタンス勢力に破れてしまう。SLASHたちは辺境に追いやられ、平和のための研究にいそしむことを余儀なくされた。他の知的種族から未だに疑われ、偏見の目を向けられながら、SLASHは細々と生きながらえているのである。(p90)

とあります。
なんだか涙ぐましいです。人間の世界の歴史みたいですね。人間界で起きていることと同じようなことが、宇宙の各所でも起きているのかなあと思うとなかなか感慨深いです。人間だけでなく、知性を持った生命なら皆、征服の歴史から逃れられないのか…。

自分は今、少しめくっただけですが、思いもよらないイメージに出会い頭が歓喜しているのがわかります。これらの生物が出てくる小説も是非読んでみたいです。SFの魅力を感じます。SFは素晴らしい想像力で、読者の世界の認識を変えていく力を持っていると改めてわかりました。

夏休みの方も多いかと思います、SFを読み、蒸し暑い自宅から静かな遠い宇宙に思いを馳せてみるのもよいかもしれません。それはきっと、この現実を生きる力を与えてくれるでしょう。

以上、「SF宇宙生物図鑑」の紹介でした。

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参考
映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」サイト:https://gaga.ne.jp/eeaao/

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