「諏訪根自子 美貌のヴァイオリニスト その劇的生涯」のご紹介です🎻 #ストラディバリウス #クラシック音楽

本日はこちらの本をご紹介いたします📚

諏訪根自子 美貌のヴァイオリニスト その劇的生涯
萩谷由喜子 著  2013年(株)アルファベータ

大正~昭和の激動の時代に活躍したヴァイオリニスト、諏訪 根自子(すわ ねじこ)。
霧のヴェールに覆われている部分が多い彼女の人生の足跡をたどった1冊です。

この本を手に取るまで、私は彼女の名前すら知りませんでした。
表紙の写真の凛とした眼差しに惹かれてページをめくってみると、真っすぐこちらを見てくる彼女のあまりの美しさに圧倒されます。

異様に仄暗い照明も手伝って、ちょっと怖いくらい鋭いオーラを放っていますshine.gif  

西洋のクラシック楽器を習い事にできる子供がまだ珍しかったであろう大正時代に、彼女はどうやってヴァイオリンの腕を磨き、「天才少女」と言われるほどになったのか。
戦争真っ只中のヨーロッパで留学中に、ナチスドイツの宣伝相ゲッペルスから名器ストラディバリウスを贈呈された経緯はどんなものだったのか。
誰もが認める素晴らしい技術と才能、そしてこの恵まれた美貌を持ち合わせた女性は、一体どんなドラマティックな生涯を送ったのだろう。。

色々と興味を惹かれながらプロローグを読み始めると、まず、近所の郵便配達員が「すごい子がいる!」と音楽評論家に彼女の存在を知らせたことが、諏訪 根自子が世間の注目を集める最初のきっかけだったとありました。
そこまで裕福ではない家庭で、最初はひび割れたボロボロのヴァイオリンを弾いていたんだとか。
いきなり引き込まれるスタートでわくわくしました。
そこから、アレクサンダー・モギレフスキーに師事し、エフレム・ジンバリストの前で演奏して絶賛されたことで新聞に「天才少女現る」と紹介され、12才でデビューリサイタルを開いて拍手喝采を浴び、あっという間にトップスターの道を歩み始めます。

そして続いていく彼女の人生の劇的なエピソードの数々。。

少女時代の家出事件、16才でひとり異国に渡って10年近くを過ごした欧州での修業時代、ゲッペルスから贈呈されたストラディバリウスを大切に守りながらのベルリンからアメリカへの脱出劇。
そして帰国してからの音楽活動。48才でやっと叶った大賀小四郎との結婚。いったん表舞台から退き、還暦近くになってからバッハ無伴奏ソナタの全曲録音へ取り組んだ日々…

かなり濃い内容なので、自分なりに噛み砕いて読み進めるのには時間がかかってしまいました。

次から次へと色んな人物が現れて、政治情勢などの話とも複雑に絡まりながら彼女の人生が綴られていくわけですが、この本の中で私が一番衝撃を受けたのは、なんといっても最後の2ページ!!
まるで長編映画を観終えたような達成感を感じながら、エピローグの次の「あとがきにかえて」までたどり着き、最後の2ページを読んだ時…
「えっ!!」と思わず声が出てしまいました。そしてそのまましばらく固まってしまいました。
映画のラストの大どんでん返しが起きて、頭がついていけないまま流れるエンドロールを見て呆然とする、まさにあの感じです(笑)
ネタバレになってしまうので、ここでは何も説明ができず残念ですが…
とにかく是非読んで体感していただきたいです!

さて。
波乱万丈な生涯を送った根自子ですが、彼女の人柄はどんな感じだったのかというと、とにかく謙虚でストイック!その恵まれた容姿や才能におごることもなく、ひたすら音楽の道を究める求道者みたいな人だったようです。
それはたぶん、彼女の元々の性格であったのはもちろんだと思いますが、背負ったものの大きさからくる多大なプレッシャーと常に戦っていたからなんじゃないかと思います。
また、帰国勧告を振り切ってまで戦況の悪化していくヨーロッパに留まり、文字通り命がけでヴァイオリンを弾き続けることを選んだことなどから、かなり意志の強い女性だったことも窺えます。
写真の真っすぐな強いまなざしは、彼女の内面から溢れ出るものだったんですね。

そしてもう一人。本書の著者である萩谷由喜子氏もまた、根自子と同じように凄まじい情熱の持ち主だなと感じました。
本書を最後まで書き上げるのには長い歳月を要し、色々と難航していたようですが、その遠回りのおかげでラスト2ページの驚きの証言をご遺族から聞くことが出来たとあって、グッときてしまいました😭
↑根自子の人生を大きく変えることになるストラディバリウス贈呈式の一コマ。
笑っている彼女の写真はかなり少なめでした。


だいぶ長くなりましたが、本日は私にとって今年の夏もっとも刺激的な読書体験となった1冊をご紹介させていただきました。

クラシック音楽に興味がある方にもそうでない方にも、一人の強い女性の生き方に触れられる1冊として、おススメです。
途中で挫折しそうになるかもしれませんが、どうにか最後までたどり着いていただき、ラスト2ページの衝撃に震えて欲しいです!!

 

長文失礼しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!


ポエ

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