鎌倉七里ガ浜で、【貴重!】プルーストの古書をお譲りいただきました!

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鎌倉七里ガ浜で、プルーストの古書3冊をお譲りいただきました!
大変貴重な本をありがとうございます…!!

◆マルセル・プルウスト著、淀野隆三、佐藤正彰共訳『スワン家の方 Ⅰ』、武蔵野書院、1931(昭和6)年
◆プルウスト著、井上究一郎、久米文夫訳『スワンの戀』、作品社、1933(昭和8)年
◆プルウスト著、井上究一郎、久米文夫訳『土地の名』、作品社、1934(昭和9)年

鎌倉、プルースト

これらの3冊は、フランスの作家マルセル・プルースト(Marcel Proust, 1871-1922)の超大作、『失われた時を求めて(À la recherche du temps perdu)の第1篇『スワン家のほうへ』の、第1部「コンブレー」(『スワン家の方Ⅰ』に収載)、第2部「スワンの恋」、第3部「土地の名」に該当します。

この『失われた~』はとにかく長大なことで有名で、私も大学に入ったばかりのころちくま文庫版で挑戦し、途中で挫折しました (;^-^)(この分厚さで全10巻はきついです…続きが気になる!というような内容でもないので:ase1:)↓

鎌倉、プルースト

ちくま文庫版、Amazon商品ページより

 でも一昔前の人は、この本をとても大切に、胸をときめかせながら読んでいたようです。というのも、『スワン家の方Ⅰ』にこんな書き込みとノートの断片が挟んでありました。

鎌倉、プルースト

『スワン家の方Ⅰ』の書き込みとメモ

 左の縦書きの文章は、最初の持ち主と思われるJ.Kなる人物から「M君」に宛てて、扉に直接書き込まれています(1933年11月10日署名)。
「…この書物は僕に当時の幸福な一人旅を思ひ出さして呉れる…飢と渇に意識もぼんやりした時僕は美しいこの書物を愛撫した。僕は成可く君がこの書物を汚さないことを―当時の懐かしい僕の生活の唯一の記念品であるこの書物を―お願いする」

鎌倉、プルースト

扉書き込み

 

右の横書きの文章は、2番目の所有者と思われる人物によって挟み込まれたノートの断片です(1956年3月25日署名)。
「…扉を見ると誰だか知らないJ.K.と言う人の書き込みがある。誰しも此の本を読んだものはこうした感興をおぼえないでは居られないのだ。その人の気持を僕は充分に察することが出来る。それがどうして名もない古本屋でほこりにまみれてころがってるようになったのだろう。この本を貸りた[ママ]M君と言う人が……或いは今度の(と言ってももう十年になるけれど)戦争で所有者が或いはM.という人が亡くなったのだろうか……。色々と空想が沸き上る。…」

鎌倉、プルースト

『スワン家の方 Ⅰ』に挟み込まれたノートの断片

この人物は、J.K氏の書き込みに想いを馳せるとともに、本書にまつわる自身の思い出にも触れています。
「…そして『スワンの恋』と『土地の名』とは又僕の生まれて最初のamour [引用註:愛、恋] の直接のsouvenir [引用註:記憶、思い出]へとつながっている。M.S.さん。そしてその人が結婚された時に、この本を改めてお願いして返してもらったのだ。…」

 

どちらのメモにも、 本書に寄せる切実な想いが美しい文章でつづられています。
最初の所有者J.K氏、それを借りたM氏、2番目の所有者、それを借りたM.S嬢…この本には、それを手にしたいろいろな人の記憶がつまっているようです。
本書はまさに、「失われた時」をテーマにしたこの作品に相応しい運命をたどってきたと言えるのではないでしょうか。

変転の先に、こうしてくまねこ堂にたどり着いたことに感慨を覚えます。
次はどのような方の手に渡るのでしょうか…(*´ω`*)

 

 Byクラニャン

 

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