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前回の続きです。

「やあ、羊飼い君」  フェルナンド・ペソア

「やあ、羊飼い君、 道端にいるきみ、 吹きゆく風は君になんていう?」

「風です、吹いています、 以前にも吹きました、 これからも吹きます、とね あんたにはなんていう?」

「それよりはずっといろんなことだよ、 他にもいろんなことを話してくれる。 さまざまな記憶やさびしい懐かしさ かつて起こったことのないうあれやこれもや」

「あんたは風が吹くのを聞いたことがないね。 風はただ、風のことだけを話すんだ。 あんたが聞いたのは嘘ばかり、 そしてその嘘はあんたの中にある」

 「私の謎」
(※こちらの本に今回の詩が収録されてます。)

数年前結婚式にて親戚の二人のこども(小学生の兄弟)と仲良くなり、(彼らはナプキンにそれぞれわたしの絵を描いてくれたり、エレベーターで移動するときには手を繋いで、カメラを回す画面の中にはすぐに映りにくる等)それを見たまわりの大人は「やっぱり父親をもとめてるんだろうね、甘えたいんだろうね」と言いました。数年前に両親は離婚してかれらは母親と一緒に暮らしていました。

中学生の時に聴いていたスピッツの「運命の人」という曲の歌詞の冒頭で
「バスの揺れ方で人生の意味がわかった日曜日」という歌詞がどうしてもよくわからず、なんでバスの揺れ方で人生の意味がわかるのか??としばらく考え込みました。

ペソアの詩を読んでこの二つを思い出したのは、「それを何かに変えたり、要約することなく飲みこむこと」をこの詩から感じたからです。

まわりの大人は甘えるこどもを見て、かれらの行動理由に「父親がいないから」というカッコをつけました。『~なのは、~だからだ』という点を結んで線にしました。そうではなく、わたしたちはその結婚式の間の二時間ただ仲良くなったのです。(理由はあったかもしれないが、そんなものはわからないし、そんなことはどうでもいい)

スピッツの歌詞を、「なぜか」という疑問で自分の方にひきつけて矮小化するのではなく、ただ「ある人がバスの揺れ方で人生の意味がわかったんだな」とそのまま飲みこむこと。(たとえば泣いている人に涙の理由を聞いても、当人だってきっとよくわからないでしょう。最初から言語化して減圧できるものならば、そもそも涙なんて出ない)

世界をみずからの解釈に引き寄せて、変換し、要約するのではなく、そのまま飲みこみ投げだすこと。【未知との遭遇】があるとしたら、新しい面白さを発見するには、独我論的にこちらに引き寄せるのではなく、信じて投げだすこと、飲みこむことでしか出会えないのではないでしょうか。

小説家の保坂和志「小説の自由」という小説論のなかで、風景は人間の内面を描写するために存在しているわけではない」と書いていましたがそれにも通じます。
風は、わたしに引き寄せたものさびしい風でもなく、うららかな風でもなく、ただ吹いている。今とは違う世界との繋がり方を探して、「ただ風は吹いている」ことを受け入れることから最近はじめております。

タテ


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