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 前回の続きです

『判決』という作品を書き上げた日の朝には、こんなことを日記で書いています。

「この『判決』という物語を、ぼくは二二日から二三日にかけての夜、晩の十時から朝の六時にかけて一気に書いた。坐りっ放しでこわばってしまった足は、机の下から引き出すこともできないほどだった。物語をぼくの前に展開させていくことの恐るべき苦労と喜び。まるで水のなかを前進するような感じだった。この夜のうちに何度もぼくは背中に全身の重みを感じた。すべてのことが言われうるとき、そのときすべての──最も奇抜なものであれ──着想のために一つの大きな火が用意されており、それらの着想はその火のなかで消滅し、そして蘇生するのだ。窓の外が青くなっていった様子。一台の馬車が通った。二人の男が橋を渡った。二時に時計を見たのが最後だった。女中が初めて控えの間を通って行ったとき、ぼくは最後の文章を書き終えた。電燈を消すと、もう白昼の明るさだった。軽い心臓の痛み。疲れは真夜中に過ぎ去っていた。妹たちの部屋へおそるおそる入ってゆく。朗読。(中略)ただこういうふうにしてしか、つまりただこのような状態でしか、すなわち、肉体と魂とがこういうふうに完全に解放されるのでなければ、ぼくは書くことはできないのだ」

(『カフカ全集7 日記』より 新潮社)

没頭してこわばってしまい足を引き出すことができないくらい(!)集中して書いた後に、カフカはまだ眠っている妹を起こしてその文章を朗読します。書いた文章が面白いと思ってなかったら朝っぱらから妹たちを起こして聞かせたりしないでしょう。(しかしなんと迷惑な兄貴だ!笑)

この『判決』という作品は、凝った修辞や装飾など全く無く、主人公ゲオルクの話が安定してきたと思えばそこから、急に父親に死刑宣告され、状況が変化し飲み込まれ不安定な状態になり、最後は川に飛び込むという話なのですが(なんちゅう話だ!)、ここにあるのは、幸せか不幸せかという二択の世界観のものでもなく、テーマもなく、ただ書くこと、それだけに奉仕しているという印象を受けます。(表面的にはけっして明るいお話ではないですが、この文章を読むとモリモリと元気が湧きますし、途中の父親とのやりとりは笑ってしまいます。)
彼はこの文章を一晩で、前へ、前へと書きました。目の前の一文が次の一文を生んでいく、まるで水のなかを前進するようにその躍動にだけ身を任せて書いた。

はたしてカフカの小説は難解なのか?
さまざまな解釈を呼び起こし、城とは、審判とは、変身とはなど象徴として取られたり、精神分析的に読まれたり、ユダヤ人としてのカフカ、などさまざまに読まれてきましたが、作品の外の論理をいくら持ち込んでも、カフカの文章から遠く離れていってしまうのではないのだろうか。 作品の外の論理を持ち出すことなく「目の前の一文を書く、そして次の一文を書く」という運動だけを、要するに目の前の一文を「ただ読んでいく」ことではじめて、一文一文の躍動を喜びとしたカフカに、その作品に、息遣いに近づけるのではないのだろうか。
(※小説家、保坂和志のカフカ論にもだいぶ強い影響を受けております。) 

カフカは決して、暗くもなく、難解でもない。と思うのですがみなさんはいかがでしょうか?
カフカ・スケッチ
(カフカのスケッチ 『夢・アフォリズム・詩』より)

きのう君の夢を見ました。細かい出来事はもうほとんど憶えていない。これだけはまだ憶えているが、わたしたちは絶えずお互いのなかへ移り込んだ、わたしは君で、君はわたしだった。最後に君はどういうわけか火がついて燃え上がった。布で火を消し止めるという話を思い出し、古い上着を取って君を叩いた。しかしまた変身が始まって、君はもうまったく姿を消し、燃えているのはわたしで、上着で叩いているのもわたし、というところまでいってしまった。  (『夢・アフォリズム・詩』p78)

書くこと、祈りの形式としての。 (『夢・アフォリズム・詩』p242)

ひとことでいい。もとめるだけ。空気のうごきだけ。きみがまだ生きている。待っているというしるしだけ。いや、もとめなくてもいい。一息だけ。一息もいらない。かまえだけ。かまえもいらない。おもうだけで。おもうこともない。しずかな眠りだけでいい。 (『カフカ/夜の時間』より 高橋悠治=訳)

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