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お客様から『パスカル『パンセ』を楽しむ』山上浩嗣 をお譲りいただきました。

パンセ『パスカル』

みなさんは退屈なときはどう過ごされていますか?

パスカルは自然科学、物理学にも精通していましたが、神学者でもあり、またパンセの二章において「退屈」について考えた哲学者でもあります。
『パンセ』の第二章「神なき人間の惨めさ」に書かれたいくつかのアフォリズムたち。パスカルは、人間は部屋でじっとできない、退屈する、気を紛らわす生き物であるということから思索を深めていきました。

131 倦怠。人間にとって、完全な休息のうちにあり、情念もなく、仕事もなく、気ばらしもなく、集中する こともなしでいるほど堪えがたいことはない。
すると、自己の虚無、孤独、不足、従属、無力、空虚が感じられてくる。

139
気を紛らすこと。
人間のさまざまな立ち騒ぎ、宮廷や戦争で身をさらす危険や苦労、そこから生ずるかくも多くの 争いや、情念や、大胆でしばしばよこしまな企て等々について、ときたま考えた時に、私がよく言ったことは、 人間の不幸はすべてただ一つのこと、すなわち、部屋の中に静かにとどまっていられないことに由来する のだということである。

(中略)数ヶ月前、一人息子を失い、訴訟や争いごとで打ちひしがれ、つい今朝がたもあんなにくよくよしていた男が、 今ではもうそんなことを考えていないのは、どうしたわけだろう。驚くことはない。猟犬どもが六時間も前 からあんなに猛烈に追いかけている猪が、どこを通るだろうということを見るのですっかりいっぱいに なっているのだ。それだけのことでいいのだ。人間というものは、どんなに悲しみで満ちていても、 もし人が彼を何か気を紛らすことへの引き込みに成功してくれさえすれば、そのあいだだけは幸福になれる ものなのである。また、どんなに幸福だとしても、もし彼が気を紛らされ、倦怠が広がるのを妨げる 何かの情念や、楽しみによっていっぱいになっていなければ、やがて悲しくなり、不幸になるだろう。

2011年に出版された國分功一郎「暇と退屈の倫理学」の中では、パスカルやハイデガーの退屈論に関して触れながら、最終的にユクスキュル生物から見た世界環世界の概念を応用し、人間は環世界移動能力が極めて高いことに注目します。

環世界とは、動物それぞれがその種特有の世界の知覚の仕方を持っており、種によって空間・世界の認知はまるで異なるという考えであり、人間以外の動物はある程度その環世界の移行が緩やか、もしくはほとんど不変なのに対して、人間は個で知覚のバリエーションはだいぶ異なり、しかも一人の人間の中でもどんどん変化していきます。

マダニの例を挙げると、ダニは光・酪酸・体温という3つの知覚標識だけを頼りに生きています。
を知覚して枝によじ登り、動物から放たれる酪酸を知覚すると落下する。うまく動物の体表に着地できれば、体温が知覚される毛の少ない場所を探して血を吸う。このような知覚と行動のサイクルによって生き抜いています。つまり、ダニは3つの情報のみによって世界を構築し、その世界で生きているのです。
環世界移動能力が高い、とは簡単にいえば、人間はある行動パターンを繰り返し、それが習慣になると、飽きて異なる行動パターン、異なる世界の認知を取り入れて生きていく、ということです。新しいお稽古を学ぶのも、芸術に触れるのも、刺激を求めるのも、今までの世界の認知を相対化して、新しい知覚を手に入れるとも言えるでしょう。

人間は退屈する、だからそこでなにか躍動を、退屈でないことを、異なる世界の知覚を求める。文学や映画のなかでもこういったモチーフに作品が多くつくられました。

 
 
タテ


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