美術本をお譲り頂きました!井上有一のご紹介


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早くも1月半ばを過ぎました!時の速さに若干引いてる今日この頃です(笑)寒い日も続いていますが、皆さん風邪など引かれてはいませんか?そして、成人式を迎えられた皆さま、おめでとうございます!kimono03.gif

西東京市のお客様より、書籍、昭和30年代文学初版本、満州資料、万年筆、書道道具、クラッシックCD等、お譲り頂きました!

さて、今回はお客様よりお譲り頂きました本の中からこちらをご紹介。

 

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「井上有一 湘南の墨跡」

これは2014年に茅ケ崎美術館で開催された井上有一展のカタログです。

 

井上有一(1916~1985年)は戦後の日本美術を代表する一人で、「書」を現代美術の文脈の中で表現、新境地を切り開いた作家です。

彼は小学校の教員をしながら画家を志して画塾や研究所にて学びますが、やがて「日常使っている文字を書くことで、誰でも芸術家になれる。書は世界に類を見ない芸術である。」という考えに基づき、それまでの伝統書法とは異なる絵画的表現での作品を世に打ち出しました。

「前衛書道」という表現のもとに長谷川三郎やイサム・ノグチらからの影響を受けなが制作を続けていきますが、やがて文字を書かないばかりか、墨はエナメル、和紙はケント紙へと、画材も表現も変わっていきます。しかし、次第に「文字を書くか、書かないか」という問題に突き当たります。自由な表現が出来るはずなのに納得のいく作品が出来ない。苦悩の末、井上は再び文字に立ち返るを決心するのです。

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仕事場がエナメルだらけです(笑)

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いつどこで見たのか忘れてしまいましたが、私が初めて井上有一の作品を見たのは「貧」という文字の連作品でした。言葉の持つマイナスのイメージよりも、むしろその時はもっとポジティブで力強い印象が伝わってきました。前述の通り、非常に絵画的な空間でじっと見ているとゲシュタルト崩壊にも似た、文字が文字自体の意味を無くしていき、記号のように、植物のように、そして感情を持った人間のようにも見えてきました。また、何よりも余白の美しさが際立っていたのをよく覚えています。

後に調べた井上の自伝によると、「最初の一文字は1954年、38歳の時にボロボロになった古い襖にヤケクソ気分で叩きつけるように書いた「貧」の字が始まりで、それ以降1字を書くのが本命になった。」との事。この字に尋常ではない想いを込めた作家の気迫が伝わってくるようです。cat_5.gif

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これはカタログに掲載の「貧」

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「いろはにほへと」これは農協の襖を敷居にはめたままの状態で、バケツに墨を入れて雑巾で書いたもの。完成後に「を」が一文字足りないことに気が付き書き足しました(笑)

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「丁子の花咲く頃」茅ヶ崎第一国民学校卒業の教え子を描いたもの。

 

この一匹狼、井上有一の「なにくそ、これが俺だ!」と言わんばかりの爆発した感情を孕んだ数々の作品群ですが、それとは裏腹に、1945年の東京大空襲で、学校で宿直していた時に目の前で多くの避難民が焼夷弾の炎に呑み込まれた光景は、生涯に渡って彼の人生に暗い影を落とします。

それを踏まえた上で、改めて見た井上有一の作品は、膨大なエネルギーを感じると共に、やり場のない怒りと悲しみをない交ぜにしたような、静かな鎮魂の祈りのようにも思えたのです。

作家が0から作品を生み出す時は、途方もない衝動とエネルギーが発生します。そしてそれは、決して他人には分からない、非常な孤独な戦いの場でもあります。

命の限り、想いの丈を込めて「書」というものに真っ向から立ち向かっていった井上有一の作品、機会がございましたら是非ご覧になってみてくださいね!icon_arrowd.gif

ふうき


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