中沢啓治「おれは見た」の英訳版を紹介します。

 中沢啓治「おれは見た」の英訳版を紹介します。…前振りはありません。原爆も予告なく投下されました。

中沢啓治「おれは見た」

 タイトルは、”I Saw It: The Atomic Bombing of Hiroshima” 「おれはそれを見た」とあって、「それ」の内容が副題の「広島での核爆弾投下」という、これ以上ないくらい明瞭なものとなっています。さらに装丁右下には「中沢啓治による生還者の真実の話」と書かれており、表紙イラストの眼に映った炎とあいまって、原爆投下が引き起こした衝撃、恐怖が伝わってきます。

 中沢啓治の原爆作品は、自伝「おれは見た」がきっかけとなり、長編作品の「はだしのゲン」が誕生した、という形で、当事者の回想、それを基にした語りという両方の価値を持つ、重要なマンガだといってよいでしょう。しかしながら、次のような事情も想像されます。「はだしのゲン」は学校での平和教育のための教材として押しつけられたように感じているような方もおられるかもしれません。そのため、「はだしのゲン」、ましてその元になった作品「おれは見た」にいたっては素通りしてしまったという経験を持つ方は、意外にも少なくないのではないでしょうか。場合によっては、「またいつものありがたい話」になりがちな平和教育の1コマとしかみなされていないのではないでしょうか。

 そういう現状が存在すること自体、もはや仕方ないことなのかもしれませんが、それに対して私は思うことがあります。日本語作品で素通りしてしまうのなら、「またいつもの話か」と見くびってしまうのなら、英語で読んでみてはいかがでしょうか。とくに、「はだしのゲン」の内容なんか「そんなの常識」くらいに思っているのなら、普段使っている言葉でなくても、この際読むには困らないはずですよね!

中沢啓治「おれは見た」

 こう強めに出るのも、原爆ドーム近くの広島平和記念資料館で英語の音声ガイドを借りて観覧したときに、日本語音声なら聞き流してしまうところ、必死で一言一句聞く姿勢に、図らずもなった、という体験があるからです。そうやって耳から惨劇が復元されるような恐怖を感じました。日本の歴史に不真面目に向き合っていたところ、英語を介して反省させられた、そういう場面であったと私自身はこのことを受け止めています。

 そもそも、中沢啓治「おれは見た」が英訳されているのも、アメリカ人が自分たち自身が行った原爆投下について、その暴力を正当化するのではなく、虐殺として直視しようとしたからにほかなりません(I Saw It序文参照)。それでは、現在の日本人は、何を見ているのでしょうか。

小野坂

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