池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 全30巻|河出書房新社 :入荷いたしました!


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お客様から池澤夏樹が個人編集を手がけた『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 全30巻』|河出書房新社 をお譲りいただきました。

ちょうど先日ご紹介したヴァージニア・ウルフの『灯台へ』もこちらに収録されていますが、未読な作品も多数あり、あぁこれはどんな小説なのだろうと見ているとそわそわしてしまいます。

この世界文学全集は河出書房新社より、2007年より順次発表されました。編者は作家、詩人の池澤夏樹さん個人によるものです。わたしにとっては池澤夏樹と聞くと、文学というよりも映画のイメージが強く、おそらくはじめて池澤さんの仕事に触れたのは学生時代にむさぼるように観た、ギリシャの映画監督テオ・アンゲロプロスの作品の日本語翻訳で、『旅芸人の記録』、『霧の中の風景』、『永遠と一日』など国内で観ることのできる作品はすべて池澤さんによるものです。その他にも、ロシアのタルコフスキーの『ノスタルジア』のブックレットを書いていたり、不確かですが、スペインのビクトル・エリセ監督に関してまとめた一冊の本に論考を寄稿していた記憶があります。これらの監督たちは、もちろん個々の作家性は異なりますが、わたしが同じ時期に続けざまに夢中になって観たこと、それぞれ長回しの多いショット、沈黙によって語ろうとするところ、美しいフィルムの色調、も相まって、ある郷愁のようなひとつの空間をわたし個人の中に形成しています。ですから池澤夏樹という名前を見たり聞くと、それらの空間が開いてくるようなイメージがあり、この世界文学全集のひとつひとつの作品たちも、どこかであの空間たちと繋がっているのではないかしら、と勝手ながら予感のようなものを感じてしまいます。

【今の時代に果たして文学全集が売れるのだろうか?】

『完全版 池澤夏樹の世界文学リミックス』の中で池澤夏樹が述懐していますが、依頼された時にまずそう考えたそうです。そこで教養主義は忘れて、古代からはじめるのではなく、今のこの時代、9・11以降の時代を読み解くものを選ぶ、つまり第二次世界大戦の後。この半世紀に文学は世界をどう書いてきたのか、を念頭に置いたようです。なので、この文学全集にはホメロスもシェイクスピアもゲーテも登場しません。トルストイもドストエフスキーもヘミングウェイもブロンテ姉妹もいません。欧米中心ではなく20世紀に台頭してきたラテン・アメリカやアフリカの南半球やアジアの作家たち、それから女性の作家も多く取り上げています。ラテン・アメリカでもマルケスやボルヘスなどのもうある程度知名度があり、版も重ねている作家はいませんし、カフカも城や審判でなく『失踪者』!!(※以前は『アメリカ』というタイトルで出されていました。個人的にカフカの中でも一番好きな長編です。)を選んでいるところに、目利きの妙を感じます。

この全集が出された時に、日本から石牟礼道子さんの『苦海浄土』が選ばれたことが界隈で話題になりました。わたしも何年も前に違う版元の文庫を購入したまま未読で、なかなか手がのびないまま積読状態でしたが、今年の2月に石牟礼道子さんが90歳で、パーキンソン病で亡くなられました。 水俣病の公害問題に立ち向かった社会派な作家と誤解されていることも多いようですが、いくつかのエッセイや短編を読んでみると、石牟礼さんの言葉は社会化され固定された言葉ではなく、いまだ生成されていない言葉を生み出す作家だということがよくわかります。

印象的な石牟礼さんの言葉としては、埴谷雄高が編んだ『日本の名随筆14 夢』の中の、『夢の中の夏』という随筆の中のこんな文章を書いています。

最近のまぼろしの中では、わたし自身が白っぽい芭蕉布の着物で、田んぼの草道にあらわれた。「イツクワナナガマシイナ・・・・・・」とひとりごちたのだが、何時の時代のことばなのか、自分でも意味がわからない。

この一文を読むだけで、社会派な作家とは似ても似つかないことが一目でわかりますね。

また全集の中には短篇コレクションとして二つ編まれておりますが、ミケランジェロ・アントニオーニ監督が『欲望』として映画化した原作『悪魔の涎』を書いたコルタサルや(こちら原作と聞いて読んでみましたが、ほとんど異なる作品です)、ノーベル文学賞を取った『弓と竪琴』や『孤独の迷宮』などでも名を知られているオクタビオ・パスなど、ラテンアメリカ勢が目立ちます。その中でも注目したいのはメキシコのフアン・ルルフォの『タルパ』が収録されているところです。ルルフォは生涯に『ペドロ・パラモ』、『燃える平原』という2冊の薄い本を書きました。(今回の『タルパ』は『燃える平原』に収録されてもいます)1955年に二冊目の『ペドロ・パラモ』が出された時には、4年間でわずか2000部しか売れなかったそうですが、『百年の孤独』で知られるガルシア・マルケスが八方ふさがりになった時に読んで、人生が変わるほど影響を受けたそうです。

実際、『ペドロ・パラモ』は驚くべき作品で、時制も人称も生死もすべて混交して、境界線を横断して話が進んでいきます。最も好きな小説のひとつですが、「小説にはこんなこともできるのか!」と、目が回りそうになりながら、かじりついて読みました。

その他にも名前も知らない、未読な作品がたくさんあります。眺めているとわくわくする素晴らしい全集ですね。こちらの作品は異例の40万部売れたそうです。出版不況と言われる昨今ですが、編集と目利きの力次第で、購読者がまだまだ存在する事を証明しました。わたしも海外文学好きとして、ゆっくりじっくり読みたいです♪

全集や著作集などのまとまったものは新しいほど、やはり高く買い取れることのほうが多いです。新生活を迎えるこの時期に、もしご自宅でご不要の本がありましたら、くまねこ堂までご相談ください。

タテ

 


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