昭和初期の京城帝国大学の論集に続いて、「満州」における教育に関する書籍が入荷しました~日中共同研究を基礎にした貴重な研究

 先日は、埼玉県川越市のお客様より買取のご依頼のいただきました! 岩波文庫、講談社学術文庫、ちくま文芸文庫、みすず書房、思想哲学、手塚治虫、火の鳥、ブッダなどをお譲りいただきました、ありがとうございます!
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 以前の投稿で、「植民地大学」関連書籍として、京城帝国大学法文学会の経済分野の論集が入荷したことをお伝えしました。これら書籍を東京大学の蔵書検索(OPAC)で調べたところ、いくつか貸し出し中のものもございました。改めて、この分野が注目されていると感じました。

京城帝国大学 『朝鮮経済の研究』▲山田文雄「朝鮮人労働問題」京城帝国大学法文学会編『朝鮮経済の研究』(刀江書院、1929年)

 人文社会科学の面では、近代日本が植民地を抱えた「多民族帝国」となっていった事実と、日本人という単一の民族で構成されている「国民国家」という建前とのズレについて、憲法学や国際関係思想の分野から検討した研究があります。こうした近年の成果をふまえ、昭和初期の京城帝大における経済研究を紐解く必要があると思います。そこでは、人の移動をめぐる法的問題・労働問題が交錯した複雑な状況が扱われているからです。おそらくは、現在の外国人労働者問題を考えるヒントになる概念や論理が見いだせるのではないでしょうか。

※【「植民地大学」の本】京城帝国大学法文学会の経済分野の論集が入荷しました~「東大学派」かと思いきや、実は「京城帝大学派」⁉(くまねこ堂古書ブログ、2020年11月30日)
https://www.kumanekodou.com/26194/

 今回の投稿では、現在の韓国のソウル市に存在していた京城帝国大学より北上して、現在の中国東北部「満州」の教育に関する書籍を紹介いたします。

竹中憲一『「満州」における教育の基礎的研究』全6巻(柏書房、2000年)

 竹中憲一『「満州」における教育の基礎的研究』全6巻(柏書房、2000年)です。本書は1993年以来の日中共同研究を基礎にしていることが序文からわかります。本書は、「教育」は「侵略戦争」と不可分なのか、そうではないのか、あるいは、「満州」の教育は日本内地の延長なのか、独特なものであったのか、という点を検討課題としています。日中間の共同研究であれば激しい論争を巻き起こすであろう主題に取り組んだことに、本書の価値があるのだと思います。

 教育史に限らず、日中間の外交や、中国をめぐる国際政治史に関心がある方にも、ぜひとも読んでほしい部分があります。序文で掲げられた検討課題には次の事項も含まれています。

 「第六は、一九〇五年(明治三八)末の「満州に関する日清条約」調印後も、中国は日本に対して、関東州・満鉄付属地の支配は中国主権不可侵の原約に違反するという立場をとっていた。その後も中国の基本姿勢は変わらず、日本の「対華二十一カ条要求」への抗議、五・四学生運動、五・三〇運動、『山東出兵』への抗議といった一連の排日運動が起こった。特に『満州』における教育権回収運動は、日本の植民地教育を根本的見直さざるを得ないところまで追い詰めていた。例えば日本語教育、中国語教育、歴史教育にそれらがどのような影響を及ぼしたのかについて考察した。」

 当時の中国政府および社会運動は、欧米および日本との間に結ばれた不平等条約の改正を強く望んでいました。そのような不平等条約は、中国にとっては数々の対外戦争での敗北によって押しつけられたものであったからです。1912年から新たに中華民国となり近代国家の確立を目指す中国は、公衆衛生や社会福祉に関わる行政が外国に握られている状況を脱却しようとしていました。もちろん、教育行政も、中国側は自らの手中に取り戻したかったのです。

 そうした中国の国民革命の真っ最中における大上段の政治・外交問題と「『満州』における教育権回収運動」とがどのように結びついていたのか、「教育」という分野ならではの問題はどのようなものがあったのか、ということは、重要な研究課題のはずです。いわゆる「日中教科書問題」もこの時期から懸案であったわけで、近年と同様に外交問題であったことを想起するなら、なおのこと重要性を感じていただけるのではないでしょうか。

 くまねこ堂ではこうした学術書も積極的に扱っております。興味深い書籍などが入荷しましたら、本ブログで随時紹介していきます。ご関心を持たれましたり、ご質問などございましたら、ご気軽にご一報くださると幸いです。

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小野坂


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