寂しさを抱えた太陽ー星野源「いのちの車窓から 1」が入荷しましたー

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冷たい雨は、冬を呼ぶようです。
ニットを買いました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

本日は当店に入荷しました以下の本をご紹介しようと思います。星野源「いのちの車窓から 1」(2017年・KADOKAWA)です。

星野源 エッセイ

星野源は魅力的な人です。かねてより思っていたことには、私は彼の心の暗部に惹かれているのです。あれだけ人を楽しませることが好きで才気があって、楽しさを溢れさせているのに、ああ、この人もこんな寂しさを持っているのだと思って安心する。

「いのちの車窓から 1」はエッセイ集です。楽曲や出会った人について語っています。
「SUN」(2015年発売・8thシングル)について述べている部分を見てみましょう。この曲はマイケルジャクソンへの思慕が表れているものだと彼は言っています。星野はマイケルを子供の頃にテレビで見て感動していますが、その時彼は孤独を抱えていたのだそうです。
  その頃、私は寂しかった。小学校低学年の校舎の中では、あまりうまく立ち回ることができな 
  かった。人が好きすぎる為に、執拗にコミュニケーションを取り、ウザがられた。いつの間に
      か、そのことを正当化するように「自分は人が好きではない」と嘘の設定を作り出し、黙るよ
      うになった。(57ページ)
なんだなんだ、あの星野源もそんな幼少期だったのか。私と似てるじゃあないかって思わせる。今の彼の様子からは想像しがたいです。
そして、寂しさを彼はマイケルにも見ていたというのです。圧倒的なパフォーマンスを披露するマイケルの目の奥に、小学生の彼は寂しさが潜んでいることを感じ取っていました。「彼はいつも寂しそうだった。(58ページ)」

大人になって、ある新曲を作る際、星野はその歌詞は意味不明なほど明るいものにしようと思ったそうです。そしてそのような歌詞が表現する存在は、あまりに眩いのに近づくことのできない太陽のようだし、あれほど素晴らしく輝いていたのに誰も心に触れることのできなかったマイケルのようだと感じました。そしてタイトルは「SUN」となり、歌詞中で「Hey, J」とマイケルに呼びかけるなど、彼への個人的な思いが含まれたものになったとのことです(61ページ)。

彼は苦しい幼少期を越え、大人になりました。精神的な危機だけでなく、生命が危うい時もあった。開頭手術について「ロボットみたい」と面白おかしく彼は語っていますが(11ページ)、そのように語れるようになるまでに、彼はどれだけの絶望の夜をくぐったのだろう。
そのような彼であるからこそ、歌詞には人間につきまとう死の影が宿っている。
「僕たちはいつか終わるから」と「SUN」でも星野は歌詞にしています。

でも絶望をくぐり抜け、彼は祈りを言葉にするのです。
「君の歌を聴かせて 深い闇でも 月の上も すべては思い通り」(「SUN」)
これは祈りなのです。祈りでしかないのかもしれない。だってすべて思い通りにいくわけはないもの。でもあなたの存在によって、すべてうまくいくかもしれないと思える、そんな救いをあなたはくれる。マイケルが孤独を抱えながら、大勢の人を魅了したように。誰かの存在は、いつも誰かを救っている。

深く暗い海から這い出して来た人の言葉は、力があります。どれほど沈んでも、それでも、それでもって言ってくれるから。私もその海の底にいたのだから、と言ってくれるから。

星野がマイケルを太陽のような人だと言っていたなら、彼もまた今私たちにとって太陽なのかもしれない。華やかで、でも親しみやすくて、本当に好きになっちゃうあの感じ。でも心の奥に寂しさを抱えているんでしょう?って思わせる感じ。
星野源のエッセイを読むことで、星野源や彼の作る楽曲の印象も変わるかもしれません。このエッセイによって、また彼のことを好きになれるのかも。寒い今日この頃、この星野源「いのちの車窓から 1」でほかほかするのも良いかもしれませんね。

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本日もお読みくださりありがとうございました。

コトー

 


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