買取事例

明治・大正・昭和の文豪による書籍を沢山お譲りいただきました📚

 

いつもくまねこ堂のブログをご覧いただきましてありがとうございます!

 

先日は後見人の方から蔵書の買い取り・片付けのご相談があり、中央区日本橋茅場町に伺いました。
倉庫代わりに使われていたお部屋一室丸ごと買い取り・整理・片付けのご依頼で、
古本については全て引き取りのお約束の元に色々と進めさせていただきました。

 

 

別冊太陽、別冊宝島、山川方夫全集、宮沢賢治全集、安部公房全集、阿部昭全集、詩集、絵本等様々な書籍をお譲りいただきました。
誠にありがとうございます!
明治・大正・昭和の文豪の著書が多く、純文学、自己啓発書、鉄道に関する書籍、猫ちゃんに関する書籍等、大判新書文庫と種類も大きさも様々なラインナップでした♪

殆どの書籍を新刊書店で購入されていたようで、帯付きのまま書店カバーをかけ保管していた様子でした。

 

夏目漱石、芥川龍之介、太宰治、宮脇俊三、石川啄木、松本清張などなど著名な作家の著書の数々も。
夏目漱石関連だと、本人の著書やムック本以外にも、漱石の次男・夏目伸六氏の随筆や、漱石の孫・夏目 房之介氏の著書等もありました。
元オーナー様の深い関心が見受けられます。

 

 

来年2023年は宮沢賢治没後90年。宮沢賢治氏の父・宮沢政次郎を主人公とする第158回直木賞受賞作『銀河鉄道の父』(門井慶喜 著)が役所広司さん主演で映画化され、GWに公開予定だそうです。
もちろん舞台は岩手県花巻市。イーハトーヴの里ですね。

秋になるとグスコーブドリの伝記を読みたくなります。
小学校何年生かの国語で習った教材だったと思いますが、初めて結末を知ったときのショックというか、こみ上げてくる感情や衝撃は今でも忘れられません。

子どもの頃に読んだ作品を大人になってから読み返してみるのも面白いものですよね。
文豪の名作たちを、読書の秋にいかがでしょうか🍂

 

さて、前述しましたように今回お譲りいただいた書籍は殆どが書店カバーのかかった状態でした。
ご自身で一冊ずつ売却されたり、大手古本買取店に持ち込む際など、一冊一冊カバーを外す作業だけでも大変な労力ですよね。。。
くまねこ堂は見積もりと同時並行でスタッフがカバーを外していきますのでご安心ください!🙌

本棚を処分したいけど大きすぎて一人で持ち出せない😫とお困りだったり、
引っ越しの日程が迫っているけど撤去をどうしよう・・・?とお悩みのものがございましたら、まずはお気軽にご相談下さい🤗✨
ご相談いただければ、できる限りのご提案をさせていただきます!🙌✨

 

くまねこ堂では、古本やDVD/CDの他にも、古道具や骨董品、アクセサリー、切手、万年筆、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取だけではなく、不要になった大型家具の処分のお手伝いや引き取りも行っております。
ご処分をお考えの際、また、ご遺品整理などでお困りのお客さまは、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。お電話またはメールフォーム、LINEにて、まずはお気軽にお問い合わせ下さい!スタッフ一同心よりお待ちしております!

 

お客様からの感想やレビューなどいただけましたらスタッフも大変嬉しいです。
また、くまねこ堂ブログは人気ブログランキングにも参加しております。高評価、goodボタン日々の励みとなりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

ナカ

 


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歩む、思いをはせるー「道 日本の名随筆90」のご紹介ー

やわらかな雨の中、静かに季節は移ろっていくようです。
皆さまお身体に気を付けてお過ごしくださいね。

最近は涼しくて、散歩が心地よいです。誰かと一緒でも一人でも、目的を持ってではなくあてどなく歩くことは、私を知らない世界に連れていってくれます。マップアプリなど起動しては興がありません。いつも曲らない角で曲がることで、すぐにでも迷子になってしまう、その時にこそ世界がまだ私に微笑みかけてくれるような可能性を感じることができるから。

そんな秋の散歩に深みを与えてくれるような本を今日はご紹介します。
藤原新也編「道 日本の名随筆90」(作品社・1990年)です。

随筆 作品社

「日本の名随筆」は、全200巻に及ぶ作品社のシリーズです。1巻に30ほどの随筆がテーマ別で集められています。
今回紹介します「道 日本の名随筆90」には、井上靖・里見弴・澁澤龍彦・永井荷風・馬場あき子・三好達治などの随筆が収められています。

そのうち、内田百閒「凸凹道」を見てみます。
とても短いものです。友達を見送りに行こうとしたが、お巡りに自転車の無灯運転を疑われて引き止められている間に、友達は行ってしまった。そしてそのままその友達は帰省先で亡くなってしまった。その時のことが書かれています。
この随筆になぜ私は心惹かれたのか。多分抑制された書きぶりから滲み出る、言葉にできない思いを感じたからでしょう。この3ページほどに収まってしまう随筆で、最も大きな幅を占めているのは、お巡りとのやり取りです。切々と悲しみを訴えるのでもなく、自分に職務質問してきたお巡りへの恨みでもなく、お巡りとの会話なのです。

  「何故無灯で自転車に乗るか」
  「乗つて居りません」
  「嘘をつくな。無灯で乗つて来て、交番の近くで降りても駄目だぞ」
  「提灯が消えたから降りました」
  「消えたら何故ともさぬか」
  「燐寸を持つてゐなかつたので、それから歩いて来ました」
  「嘘をつけ、さう云ふ怪しからん奴が多いので困る。一寸こつちへ這入れ」
  「提灯はたつた今消えたばかりです。汽車の見送りに行くのですから、どうか  通してくだ
   さい」
  「今消えたと云ふ証拠があるか」
  「提灯にさはつて見て下さい、まだ温かいでせう」(「道 日本の名随筆90」  25ページ)

でもこの随筆の終わりに少しだけ、彼の気持ちが書かれています。

  林とは子供の時からの随分長い友達だつたから、その時の訣別を妨げた凸凹道  のいきさつ
  を、今でも思ひ出す。(同、26ページ)

お巡りとの問答を覚えている、一語一句記憶している、それを書くことで、辛さ切なさを直接に言葉にするよりも、彼の感情が伝わってくる。直接的な言葉は一切用いないのに、この随筆の末尾が深く重くなる。素晴らしい。
文章としての巧みさに感動する一方で、親友を失った彼の思いが波のように寄せてくるのを感じる。

あなたが今日歩いているその道も、誰かにとっては何か思いがつのるような道なのかもしれない。他の人にとっては何でもない通路でも、内田百閒にとってのその凸凹道は、親友との永遠の別れができなかったという悔やみが染み込んだものであったように。道というどこか固定した場所ではないところ、人が不安定になるところでは、今日も、ボーイミーツガールが起き、親子が仲直りし、友達同士が喧嘩し、恋人が別れているのでしょう。今歩いている道について、そんなことをふと思ってみるのもよいかもしれません。あなたの世界を深めてくれるはずです。

 

くまねこ堂では、古本やDVD/CDの他にも、古道具や骨董品、アクセサリー、切手、万年筆、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取も行っております。
ご処分をお考えの方、またご整理などでお困りのお客さまは、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。お電話またはメールフォーム、LINEにて、まずはお気軽にお問い合わせ下さい!スタッフ一同心よりお待ちしております!

本日もお読みくださりありがとうございました。

コトー

以下参考にしたもの
「道 日本の名随筆90」作品社紹介サイト:https://sakuhinsha.com/essay/9907.html

 


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萩原延壽『東郷茂徳――伝記と解説』普及版(原書房、1994年)、佐藤元英・黒沢文貴編『GHQ歴史課陳述録――終戦史資料』下巻(原書房、2002年)

 いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。

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 今回の投稿は、最近入荷した本と、現在出品中の関連書籍の紹介になります。分野は日本外交史です。

東郷茂徳

 上掲の画像は、萩原延壽『東郷茂徳――伝記と解説』普及版(原書房、1994年)です。著者の萩原氏は、『遠い崖――アーネスト・サトウ日記抄』や『陸奥宗光』といった、明治期の日本外交史、日英関係史を扱った評伝などで知られる著名な歴史家です。また、1930年代の日独関係の研究とあわせ、東郷茂徳の評伝という業績もあります。東郷は、1930年代に外務省欧亜局長、駐独大使、駐ソ大使を歴任し、アジア・太平洋戦争(1941-45年)の開戦時と終戦時の両方で外相の地位にあった、日本外交史上の重要人物の一人です。

 『東郷茂徳――伝記と解説』の特色は、萩原氏の驚くべき史料調査により、東郷本人の回想録『時代の一面』ではさすがに多く語られてはいない、在外勤務時代(大正時代、東郷30代のころ)の恋愛事情が書き込まれていることです。私生活を史料に基づいて語っているわけですから、国家間の外交問題、すなわち公務についても充実の内容であることが予想されます。実際、外交文書を引用し解説している部分では、手書きの欄外記の筆者を特定している部分など、日本外交史の研究水準の高さがうかがえます。

 なお、くまねこ堂では、下記の本をAmazonにて出品しています。

終戦史資料

 佐藤元英・黒沢文貴編『GHQ歴史課陳述録――終戦史資料』下巻(原書房、2002年)(https://amzn.to/3Sczy4m)です。上巻には東郷の項目がありますが、下巻に収録された陸海軍関係者の項目にも、終戦時の外相の東郷について言及があります。ご購入のほど、ご検討のほどよろしくお願いします。

小野坂


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松浦有成『水石入門マニュアル 一石一魂』(近代出版、2004年)が入荷しました

 

 こちらの【わくわく作業シリーズ】は主に盆栽に力を入れているムック本ですが、今回は最近入荷したこちらの『水石入門マニュアル』をご紹介します。

 水石入門マニュアル

「この一冊で水石愛好の総てがわかる!」と銘打っているだけあり、読んでみると水石を鑑賞するポイント、例えば水石の5大要素など鑑賞の手がかりを得られます。それだけでも物の見方、愛で方が変わってくるように感じました。

 

 特に僕が面白いと感じたのは水石を置く水盤についてです。浅めの器に粒度を整えた綺麗な砂を入れたもので、この上に水石を据えます。据え方の良い例と悪い例が載っていて、全く知識のない僕でもその良し悪しを感じることが出来る分かりやすい写真です。水盤と水石のバランスによる総合美、調和が大事だと書いてあります。


 

 ちなみにこの「ワクワク作業シリーズ」第2弾は『盆栽入門マニュアル』でした。盆栽も同じように鉢の選び方で大きく印象が変わるかと思います。盆栽自体が生き生きと見えるかには、やはりこちらも総合的な調和という感覚が大事になるのでしょう。こういった水石でも盆栽でも、一つ自然を生活に取り入れることで、部屋自体も当然その調和の一部となり、豊かな生活の良い循環になりそうですね。

 

 最後に著者の松浦有成さんのあいさつを引用いたします。

盆栽と水石。その姿を変化させる植物と静的な石を対象とした両者の世界は、相反するようでいて、あたかも車の両輪のようにその境地を高めてきました。生きている盆栽が四季折々の彩を見せるのは当然のことですが、水石もまた、四季の移ろいをはじめさまざまな風趣を感得できます。対象を通じて山水の風情に遊び、壮大な宇宙をも垣間見ることが出来るのです。

 

 

 はじめ水石は盆栽に比べて管理は楽かと思いました。しかし石という静物がゆえに、それをある種生かしておくというのは奥深く、また手のかけがいがあるのかなと思いました。厖大な情報やコンテンツが存在する現代において、自然、あるいは宇宙までも感じられる瞬間はどれほどあるでしょうか。

気になられた方はぜひこちらの本について調べてみてください。入門者にはもちろん十分な情報量がありますが、コレクターやプロの方にもカタログや底本として価値があるかと存じます。

 

 

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小野

 


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李恢成、水野直樹編『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』(岩波書店、1991年)が入荷しました #学術書 #歴史学 #革命

 最近入荷した、韓国・朝鮮近代史、中国近代史の書籍を紹介していきます。今回は以下の書籍を取り上げます。

李恢成、水野直樹編『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』(岩波書店、1991年)

 李恢成、水野直樹編『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』(岩波書店、1991年)です。本書は岩波書店公式サイト(https://www.iwanami.co.jp/book/b261582.html)によりますと、「朝鮮人革命家キム・サンの波瀾に満ちた半生を語る『アリランの歌』成立の真相と著者二人の実像に迫るドキュメント・評論を集成」した内容となっています。引用中の「著者二人」とは、すなわち副題のキム・サン(張志楽)とニム・ウェールズ(ヘレン・フォスター・スノー)です。『アリランの歌』が扱っているのは、主に1920~30年代の出来事にあたります。

 前回の投稿で石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)を紹介した際は(※)、中国共産党草創期の活動において、日・英の翻訳文献を用いたマルクス主義の受容やロシア革命の知識の摂取が存在したことにふれました。こうした共産主義運動の国際性は、上記に限らず、様々な形をとって歴史に刻まれています。今回紹介する、『アリランの歌』という作品についての研究書、『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』は、朝鮮人革命家キム・サンの足跡を、アメリカ人ジャーナリストのニム・ウェールズが描いたという、両者の中国共産党を介した交流を詳細に検討するものとなっています。

(※)石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)が入荷しました(くまねこ堂古書ブログ、2022年10月14日)
https://www.kumanekodou.com/31316/

 ただし、『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』は、そもそも『アリランの歌』の内容や、張志楽という本名を持つ朝鮮人革命家キム・サンとはいかなる人物なのか、そして第一次世界大戦後から日中戦争期にかけての東アジア民族運動・共産主義運動はどういった経緯をたどったのか、といった諸点の予備知識を持っていないと、読み進めるのが難しいかもしれません。まずもって、朝鮮人革命家とアメリカ人ジャーナリストが中国で出会う、というのがどういう状況なのか、と困惑してしまうことも想像されます。

 このブログの投稿でそれら予備知識を過不足なくまとめることは困難ですが、読書リストという形でいくつか列記し、後日の投稿を期したいと考えています。

 まず、ニム・ウェールズ、キム・サン『アリランの歌―ある朝鮮人革命家の生涯』松本いを子訳(岩波書店、1987年)を読むべきなのは、いうまでもありません。この訳書には、韓国・朝鮮史研究の大家、梶村秀樹による解説が付されています。あわせて、梶村秀樹の講演録に基づく、『排外主義克服のための朝鮮史』(平凡社、2014年)において、朝鮮独立運動史の概要をおさえ、その中でキム・サンがどのように登場するのか確認するのも一手でしょう。また、キム・サンについては、沈志華『最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮』上巻、朱建栄訳(岩波書店、2016年)でも言及があります。

排外主義克服のための朝鮮史

 これら書籍を読んで、再度『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』に取り組みたいと思っています。

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小野坂


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驚嘆しようぜ!-開高健「オーパ!」のご紹介ー

秋の深まりを感じる今日この頃です。

オーパ!
どこかで思い出す度、何の言葉だっけとなっては忘れていました。そうだそうだ、この本だ。
当店に入荷いたしましたのでご紹介します。開高健「オーパ!」(集英社)
どどん。

オーパ! 開高健

ピラニア!!歯がなんて鋭い!ああ、こんな生き物がどこかにはいて、今日もうごめいているんですね。

「オーパ!」は、作家開高健がブラジルを旅した記録を、写真と共に綴ったノンフィクションです(写真は高橋曻)。釣りだけでなく、その土地の人々や文化についても書いています。
題名にもなっている「オーパ!」は、ブラジルで驚いたり感嘆したりする時発せられる言葉とのこと。この本には、開高がブラジルの旅で「オーパ!」したことが詰まっているのです。
冒頭には開高の以下の言葉があります。
  何かの事情があって野外へ出られない人、
  海外へいけない人、
  鳥獣虫魚の話の好きな人、
  人間や議論に絶望した人、
  雨の日の釣師…
  すべて
  書斎にいるときの私に
  似た人たちのために
種々の自粛が言われる今、加えて世界がどうしようもないことをまざまざと見せつけられるような出来事が重なり続ける今、この中に含まれない人などいるのでしょうか。
カバー写真でもわかるように、溢れる生命の躍動がこの本にはあります。そしてその土地の空気感が閉じ込められています。
そして開高の文章。彼の心的世界の深さからくる言葉は、読む人をどきどきさせる。でも茶目っ気があって、きゅんとしちゃう。そしてこんなに世界は眩しかったのかと気づかされる。

雨続きで部屋に引き籠りがち、鬱々としがちな最近ですが、この本を読んで「オーパ!」してみませんか。世界にはまだまだあなたの見ていないものがたくさんある。絶望するには100億年早いのです。驚嘆しましょう!そして生きていきましょう!

 

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本日もお読みくださりありがとうございました。

コトー

以下参考にしたもの
集英社・開高健「オーパ!」完全復刻版紹介サイト:http://gakugei.shueisha.co.jp/opa/index.html


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石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)が入荷しました

 いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。先日の投稿に引き続き、最近入荷した歴史学の研究書を紹介していきます。今回は近代中国史になります。

石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)

 石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)です。著者の石川氏は京都大学教授であり、中国共産党史を専門としています。近著に『中国共産党、その百年』(筑摩選書、2021年)があります。 今回紹介する『中国共産党成立史』は、岩波書店公式サイトによりますと、「日本社会主義思潮の流入,ソビエト・ロシアからの積極的働きかけ,五四運動後に社会変革を指向した中国知識人の結集,の3点からあますことなく分析」した研究であり、中国共産党の成立過程(1921年成立)を「中国一国史の枠組みから解き放つ」内容となってます。

 そのため、「本研究は,日本近代史や欧米社会主義史に関心を持つ人にも興味深いだろう」というわけですが、まったくもってその通りです。しかも、著者の議論の前提になっているのは、「徹底的に内外文献を相互対照,比較」したからこそ明らかとなった事実関係です。こうした定評のある研究書が入荷することは珍しいので、前回に引き続いてブログで紹介しています。

※ここまでの引用は、岩波書店公式サイトより
https://www.iwanami.co.jp/book/b265117.html

 とりわけ本書で興味深い部分は、中国共産党の成立にあたって、「社会主義」、「共産主義」といったカール・マルクス由来の思想をどのように取り入れたのか、そして、共産主義革命となった1917年のロシア10月革命の経緯をどのように知ったのか、その後の国際的な共産主義運動と中国共産党の政治思想はどのような影響関係にあるのか。といった読者の素朴な疑問に答えているかのような箇所です。このことは、一定の政治思想を共有した組織である政党の成立を理解するためには不可欠なはずですが、本書の登場までよくわからなかったことなのです。というのも、ドイツ語文献、あるいはロシア語文献を中国人運動家が必ずしも直接に入手して読んでいたわけではないからです。原典と(やがて共産主義者となる)中国人運動家とを媒介したのは何だったのか、ということこそ、本書で明らかになったことなのです。

石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)
▲『中国共産党成立史』76頁。イギリス(左)と中国(右)両国の共産党機関誌の画像

 こうした事実関係の解明がまさしく「中国一国史の枠組みから解き放つ」ことであり、「日本近代史や欧米社会主義史に関心を持つ人」にとっても重要な本なのです。こういってしまうと何が媒介したのか、というのは、もう答えてしまったような感じがしますが、1910年代末からは日本語文献を介して、1920年代半ばからはイギリスやアメリカの英語文献を介して、中国の共産主義者はマルクス主義やロシア革命について学んでいきました。こうした日本から英米へという文献の輸入先の転換が、中国共産党の歴史にとってどのような意味を持っていたのでしょうか。このことについての著者の分析は、本書の見どころの一つです(本書75-80頁)。

 このような中国共産党の成立や初期の活動に関わる経緯は、まぎれもなく国際関係史といってよいでしょう。

 引き続き、こうした形で入荷した書籍について紹介していければと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。

小野坂


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和田春樹『朝鮮戦争全史』(岩波書店、2002年)が入荷しました

 いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。最近、近現代の韓国・朝鮮史に関する学術書が多数入荷しましたので、それらを紹介していきます。

 隣国の歴史を知ることが重要なのはいうまでもありません。なかでも、朝鮮戦争(1950年開戦、1953年停戦)は、現在も平和条約が締結されずにおり、法的には終結していない戦争です。完全に過去の出来事となったわけではないこの戦争について、私たちは向き合っていく必要があります。最近でも、次のような記事が発表されています。

※アングル:朝鮮戦争で引き裂かれた離散家族、遠のく再会の夢(ロイター、2022年10月9日)
https://jp.reuters.com/article/us-southkorea-northkorea-reunions-idJPKBN2R10BR

 そこで、朝鮮戦争の歴史を学ぶ際の必読書である。以下の本を取り上げたいと思います。

和田春樹『朝鮮戦争全史』(岩波書店、2002年)

 和田春樹『朝鮮戦争全史』(岩波書店、2002年)です。著者の和田春樹氏(1938年-)は、東京大学名誉教授で、ロシア・ソ連史および朝鮮史の第一人者の一人です。1938年生まれの和田氏にとって、朝鮮戦争は中学生の時期にあたります。朝鮮戦争の研究に同時代史として取り組んだ著者から学ぶべき点は多いはずです。

 本書は次のように切り出されていますが、そこで必要だと述べられていることは、現在でもなお一層求められているように思われます。

「朝鮮戦争は半世紀前にはじまった。しかし、この戦争は未だ完全には終わっていない。過去になり切っていない戦争である。それはいまも東北アジアにいきるわれわれの運命に大きな影響を及ぼしている。だから、この戦争を思い出し、その姿をみつめ、その意味を考え抜くことはわれわれの未来のために必要である」

 『朝鮮戦争全史』の特徴は、その観点の独自性と、それを裏づける史料的根拠にあります。先に史料に関して述べておくと、特筆すべきことは、本書がソ連崩壊後、1990年代半ばより公開されていったロシア語文献を用いていることです。その上で観点の方を確認すると、序章に次のような記述があります。第二次世界大戦終結後のイギリスとフランスの植民地独立運動にふれ、ついで朝鮮戦争に関係したソ連、日本、アメリカ、中国、の状況を概観しつつ和田氏は、朝鮮戦争の見方を下記のように提起しています。

 「これは東北アジアのすべての国を巻き込んだ東北アジア戦争であった。中国革命とこの戦争によって東北アジア新秩序が確立されたのである。南北朝鮮の関係はもとより、米国、中国、ソ連の関係、さらには日本と台湾の位置が確定した。またこの戦争によって米ソ対立は世界的に決定的な新段階に進み、超大国の軍事的対峙としての冷戦体制が本格化した」

和田春樹『朝鮮戦争全史』(岩波書店、2002年)

 このように、朝鮮戦争を、大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との南北二国の対立という点にとどまらず、米ソ対立、日本の敗戦と講和、中国における国民党と共産党との内戦という関係諸国の要因をも含めて、史料に基づいて分析していくことが示されています。

 こうした総合的な理解を目指して書かれた『朝鮮戦争全史』は、ロシアのウクライナ侵攻に直面している現在に私たちにとって、再読すべき重要な一冊といってよいのではないでしょうか。本書に含まれた、過去と現在との関係という時間軸や、「東北アジア戦争」という広範な地理的視点は、長く広いものであり、かつそのことは史料的根拠に基づいて語られています。簡単に紹介できるものではないことは承知しつつも、本書の重要性に鑑み、このブログで紹介することを試みました。不十分な紹介ではありますが、最後までお読みいただき感謝申し上げます。

小野坂


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大量の書籍をいただきました📚

暑くなったり寒くなったりですね。こうして秋は深まっていくのでしょうか。

本日は茨城県取手市のリピーターのお客様のお宅へ伺いました。本のお片付け・回収だけで向かっております。買取できるものと相殺で、回収をご希望のもの全部を引き上げさせていただいております。1回ではお品物が車に乗りきらなかったため、2回に分けて引き取らせていただきましたが、今回はその2回目でした。

本日回収させていただいた書籍はざっと数えて1500冊くらいでしょうか📚📚📚

社会科学・思想・哲学・世界史・近現代史・共産主義・社会主義などの本や、辞典もたくさんお譲りいただきました。

今回いただきました書籍を拝見しますと、歴史についてご興味があり、継続的に学ばれていた方なのだろうなと感じました。流布する話が気づかぬうちに移り変わっていくことも多く、ネット上の情報は日々削除更新されていく中、書籍で歴史について誰がどう語ったのかを学んでいくことは重要なのでしょう。

こうしてお客様の知を形づくったものを、また次の方に引き継げることを嬉しく思います。

今回は買取できるものと相殺で、お客様がお片付けをご希望のもの全てを回収できました。必ず無料でお品物全てを引き取れるわけではございませんが、いろいろな可能性がありますので、まずはご相談ください。

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ポエ・コトー


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横山光輝『原作完全版 コメットさん』のご紹介

皆さまいかがお過ごしでしょうか。

本日は最近入荷した本の中から、横山光輝『原作完全版 コメットさん』講談社・2005年をご紹介します。

コメットさん 横山光輝

横山光輝は1934年神戸市生まれ。『三国志』『鉄人28号』などの作品が有名です。
私はこれまで「コメットさん」は存じ上げなかったのですが、あの『三国志』を描いた漫画家が「週刊マーガレット」に連載されるような漫画も作っていたことに驚きました。横山は中国古典に題材をとったものから、ロボットに関するもの、ファンタジーに至るまで幅広い作品を生み出しています。多才ですね。

この原作完全版には光プロダクションによる序文があります。
  「面白くなければ、まんがじゃない」、これが横山光輝作品の根幹です。
とのことです。

思想や哲学を含ませつつ、エンタメ作品であり続けることは非常に難しいことだと思います。それが実現できているからこそ、横山作品は今も読まれているのでしょう。

日々漫画膨大な数の漫画が生み出され、ネットでも簡単に読める時代です。
しかし電子版と紙で読むのでは、作品の細かな部分の解像度が違うように思います。繊細な線がどのように出るかは異なるし、見開きの印象もスマホの小さい画面で見るのとコミックを手に取って見るのでは違います。電子版ではスワイプで素早く見過ごしてしまう場面も、紙で見るのなら、目が留まってしまうこともあるかもしれない。
電子で読むか、紙で読むかで作品の印象が違うこともままあるのかもしれません。
現代の漫画では、電子版で読まれることも意識して作品が作られることもあると聞きますが、電子版なるものが存在しうることなど想定もされていなかった時代の漫画であれば、やはり一度は紙で読んでみたいものです。紙で読んでこそ、その作品と対峙できるように思います。

今回紹介したような原作完全版や復刻版などで、過去の作品をじっくり読むのもよいかもしれませんね。

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コトー


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くまねこ堂 古本出張買取対応エリア

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