海軍兵学校生徒の休暇日記(昭和初期)


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古書の買い取りで一緒に入ってきた、こちらの1冊の冊子。

中を開いてみると、海軍兵学校の生徒さんが
昭和5年から昭和8年にかけての夏季・冬季休暇時に書いた日誌でした。
要するに、夏休みと冬休みの、日記の宿題というわけですね。
毎日きっちりと書かれており、先生による赤字の添削も所々にあります。


海軍兵学校は、ウィキによれば受験年齢は16歳から19歳だったそうですから、
このノートの持ち主様は当時今の高校~大学生くらいのご年齢だったのでしょうか。

日誌に目を通してみますと、休み中も柔道や馬術に励み、
読書にいそしみ孫子などを学び、真剣に国の行く末を憂える姿がありました。
たとえばこんな記述があります。
弟妹を連れて、京都に遊びに行ったときのくだりです。
(※読みやすいように、句読点を足し、ひらがなに直して書かせていただきます。)

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所謂「モダンボーイ」「モダンガール」なる者、得意然として市中を横行す。
憤慨に堪えず。彼等は何の為に生きるや、快楽の為に生きつつあるとしか思へず
非常時非常時と言うが、非常時日本に余りて高等遊民の多きを現実に見て
邦家の為寒心に堪えざりき彼等は果たして自己と云うものを一度なりとも考えたることありや。
甚だ疑わしきことなり。
斯の如き輩に兵学校教育を一ヶ月やらしてみたきものなりと感ぜり。

(※そして最後の一行に、先生の赤ペンで「誠に同感なり」と書いてありました)

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たとえ休暇中でも、自分を高める努力を怠らない持ち主様の真摯な姿勢に、
読んでいるこちらも身が引き締まる思いがいたします。
また一方で、トランプや将棋、あるいはボートに乗ったりして弟妹やお友達と遊ぶといった
学生さんらしい微笑ましい姿も見られました(^^)

日誌の最後は、こんな文章で締めくくられています。

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休暇たるや、兵学校生徒の、ある意味に於いては最も楽しき最も期待せるものなり。
自分は入校前、廣瀬中佐伝・佐久間艇長伝を読み、 
共に生徒時代の休暇の愉快なるを叫べる所に到り、
その子供らしさに微笑したることありたり。
生徒になりて始めて両先輩の感ぜしと同様の感に打たれたり。

而れども我等の父母兄弟は、恐らく我等以上の喜びと期待とを以て我等を待つものならん。
我には父なく、兄なく、姉なく、老いたる母と若き弟妹あるのみ。
我が休暇の最高の願いは、家庭の人となりて母に孝養を盡(つ)くし、
弟妹と愉快なる生活をなすにあり。
之我が精神を更新し、身体を鍛練し、新しき勇猛心を培ひ得る所とするものなり。
この意味に於いて我が生徒時代最後の休暇を有意義に費したるものと信ず。

(※文章中に名前があがっている、
廣瀬武夫中佐は海軍兵学校第15期生(明治22年4月20日卒業)、
佐久間勉大尉は海軍兵学校第29期生(明治34年12月14日卒業)
とのことです。)

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このノートの持ち主様は第61期生(昭和8年11月18日卒業)で、
その後残念ながら第二次大戦中に戦死されました。
老いたお母さんをいたわり、幼い弟妹を可愛がっていた持ち主様の在りし日のお姿が、
この一冊のノートから生き生きと伝わってきます。


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