高峰秀子「旅の流儀」

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こちらを読みました。



「高峰秀子 旅の流儀」斎藤明美編/とんぼの本/新潮社

この本が発行されたのは2013年3月、つい最近です。
高峰秀子さんが亡くなったのは2010年、享年は86歳ですから、
女優さんとして大スターだったのはもうけっこう昔のことなのに、
今もなお高峰さんの本は人気で、新装されたりして新しく出版され続けています。
これはやはり、人気のある女優さんだったというだけではなくて、
高峰さんの一人の「人間」としての生き方が、
非常に魅力的であるからに他ならないのだと思います。

この「高峰秀子 旅の流儀」でも、
自分の周囲のすべての人に日常的に深い配慮をする姿や、
”動じない、求めない、甘えない、怠らない、驕らない・・・そして、変わらない”
を生涯通して貫き通した、高峰さんの”かっこいい”姿が伝わってきます。

例えば、飛行機の中では決して寝ることなく本を読んでいたという、高峰さんのエピソード。
(当時海外へ行くのに、飛行機に乗っている時間は今よりももっと長かったはずなのに・・!)
そこには、女優としての強い矜持と意志が感じられます。

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「旅のおもかげ/斎藤明美」

(前略)
仮にも、自宅でない場所、それも人様の目につく公共の乗り物の中で”寝る”、
寝姿を見せる、寝顔を晒すというのは、本来、どう考えても美しい様ではない。
それに自宅以外の安心できない場所で眠り込むほど、高峰は迂闊な人ではない。
二人(高峰夫妻)は海外へ行く時は必ず飛行機のファーストクラスだった。
シートは寝やすいようにフラットになるはずだ。それでも寝なかった。
高峰と、そして松山(夫)の気性である。

そう言えば、一緒に乗った新幹線で、二人はシートを倒しもしなかった。
終始、きちんと腰掛けていた。オットマンに足を乗せることもなく。
機内や社内で大いびきをかく男、大声で喋り合う女、
騒ぐ子供を注意しない、静かにさせられない親、
使った毛布やスリッパなどを散乱させたまま平気で機を下りる輩・・・。
今でもそれら見苦しい様を見るにつけ、私は、高峰と松山の、
背筋を伸ばした礼儀正しさを思い出す。
(中略)

動じない、求めない、甘えない、怠らない、驕らない・・・そして、変わらない。
旅においてこそ、”高峰秀子の流儀”は、加速したのだ。
人は非日常を求めて旅をするという。
だが、高峰はそうではなかったと思う。
暦の祭日や年中行事を一切無視するような暮らしぶりだったが、それは、
高峰にとって、祭日が特別な日ではなかったからだ。
毎日が特別、毎日が大事な日、だったからではないだろうか。
それと同じように、旅に出ても、東京の自宅にいても、高峰は”特別”にならなかった。
常に同じ。
いつどこにいても、最高の”同じ”を保ち続けた人だったと、今改めて思う。

(「「高峰秀子 旅の流儀」より抜粋。下の写真も。)

 

たとえどこにいても、誰と相対峙しても、
「動じない、求めない、甘えない、怠らない、驕らない・・・そして、変わらない。」
を貫き通すというのは、すごいことだなあと思います。
(アタシは動じまくりの甘えまくりだわ・・(T∀T)ハハハ)


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