才能ある人が乗り越えなければいけない壁 /東京都大田区南馬込、千葉県市川市で、PCゲーム、PS2、ニンテンドーDS、PSP、Wii、専門書、学術書、歴史書、宗教学、妖怪学の本などお譲り頂いました。


人気ブログランキングへ   現在2位です(本・書籍部門)、どうもありがとうございます! 

前回の記事でご紹介した「まことの花」(五十六世 梅若六郎/世界文化社)を
読み終えました、面白かった!
本の中には様々な人の興味深いエピソードが載っていましたが、
榊莫山(さかきばくざん・1926年-2010年)についても触れられていました。

———————————————————–

書家の榊莫山さんにも、書家人生でいえば、「食えない」空白の十年間があった、といいます。
先生は三十歳をむかえるころ、当時所属していた二つの書の団体で、
いずれも連続して最高位を獲得され、無審査で作品が展示される、
いわば幹部同然の待遇を受けるまでにのぼりつめるのですが、
三十二歳のころ、自らの意志ですべての肩書を捨てて、野に下ります。
昭和三十年代の初めのころのことだ、といいます。

それからの十年あまりがたいへんだったようで、団体を離れての作品の発表は
画廊やデパートでの「個展」を開いたのに、ショー・ウインドーのガラスを割られたり、
作品を直接、刃物で切りつけられたこともあったようです。

書道界の旧態依然とした”厚い壁”にはばまれた先生は、奥さんに手弁当をつくってもらい、
それとカメラだけをもって、明日香をはじめ、奈良や京都の寺々の扁額や
路傍の道標などを見て回ります。師は何も美術館や博物館にあるだけではない、
というのが、その真意だったといいます。
「とても家にはじっとしておれんかった」
と後年、当時の心境を振り返って、親しい編集者にもらされたそうですが、
言葉にならない怒りやもどかしさに打ち震えておられたのに違いありません。

この発言にしてもそうですが、先生には現在まで百冊を超える著書があるにもかかわらず、
団体を離れた理由にしても、先生の言葉でいう”野ゆき、山ゆき”を始められたいきさつについても、
先生はただ事実を述べられるばかりで、何の記載もしておられません。
「書けば、グチや恨みごとになり、自分も傷つき、読者も不愉快になるばかりで、
 そこからは何も生まれない」
といった基本認識があるからでしょうが、先述した、ふと編集者にもらされた呟きにしても、
学校の教員をしながらその間の先生を物心両面から支え続けられた奥様への配慮から
出た言葉なのに違いないでしょう。
私はこうした心映えに惹かれるのです。

先生は結局、昭和四十年(1965年)、放浪暮らしの成果として『野の書』を出版され、
それを機に、ちょっと一息つかれるわけですが、編集者から聞いて少しばかりわかった
「書かれなかった理由やいきさつ」の部分と、三十代から四十代にかけての
”不遇”の歳月を思うとき、初世・梅若実に通じるものを感じて、自然、頭が下がるのです。
(抜粋)

———————————————————–

文章の最後にお名前が出てきました
初世・梅若実(文政11年5月26日(1828年7月7日) – 明治42年(1909年))は、
著者・梅若六郎(玄祥)のひいおじい様に当たる、明治期の伝説的な能楽師です。
その類まれなる才能と実力で、明治期の能楽界を復興させた偉大な能楽師となるのですが、
そんな初世・梅若実にも、若かりし頃はその才能ゆえに仲間の嫉妬を買い、
苦労をさせられた時期があったようです。
白洲正子の「梅若実聞書」に、こんな記載がありました。
(「梅若実聞書」は、白洲正子が二代目・梅若実の語りをまとめたものです。)

———————————————————–

父(初世・梅若実)の若い頃には、今と違いましていろいろ好い事もありました反面、
ずい分ひどいいじめ方もされたようです。
昔は何てますか、ひがんだり恨んだりすることが多くて、
父が奥詰になりました時なんぞ、それをねたんだのでしょうが、
楽屋で弁当をあけようとしますと風呂敷が釘づけになっています、
あけてみると中に灰がはいっている、
それを怒ったりしますと稽古をして貰えませんので、
仕方がないのでだまっているより他はありません。

(中略)

ある時なぞは、今始まっている能の次へ急に「安達原」を舞えと言われまして、
お受けしたのは観世大夫でしたが、楽屋の者がそれをねたんで、
新参者メが、と言って白い眼で見ます。
父は父でまだろくに稽古してありませんので、お型が危いのですが、
命令ですから断る事は絶対に出来ません。
両方の板ばかみになって、辛いおもいで、無事には勤めましたけれど、
その時の気持ってなかったとしじゅう申しておりました。

(抜粋)

———————————————————–

今まで色々な本を読んできましたが、やはりどの世界でも、
才能のある方々は多かれ少なかれ必ずといっていいほど
こういう目に遭っているのだなあと感じます。
必ず乗り越えなければいけない試練なのでしょうね、
でもきっとこれを乗り越えて、皆さん素晴らしい結果を出されるんだろうなあと思います。
人様を妬まないようにしなくっちゃね!
そんな暇があるんだったら、自分で努力しろって話です:body_stretch::ase1:

 


よろしければシェアお願いします

2013年7月に投稿した古本出張買取り│くまねこ堂・妻のブログの記事一覧

この記事のトラックバックURL

古本買取くまねこ堂 出張買取対応エリア

埼玉県・東京都・千葉県・茨城県・神奈川県を中心に承っております。詳しくは対応エリアをご確認ください。

PAGE TOP