応挙風の可愛い仔犬画を集めてみました

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前回の記事で(2016/02/10)、仔犬が2匹じゃれている
可愛い江戸時代の根付(虎渓作)をご紹介いたしました。

この丸々とした愛くるしい仔犬の姿は、いかにも円山応挙風の仔犬を彷彿とさせます。
せっかくなので、江戸・明治期の有名絵師によって描かれた、応挙風の可愛い仔犬たちを、
いくつかご紹介してみようと思います。
(参考文献:「別冊太陽 円山応挙」平凡社、「別冊太陽 長沢芦雪」平凡社、
        「かわいい琳派」東京美術)


円山応挙「狗子図」 1778年/敦賀市立博物館

可愛い仔犬の絵といえば、やはり円山応挙(まるやまおうきょ/1733年-95年)を
筆頭に挙げなくてはいけないでしょう!
このつぶらな瞳、丸っこいフォルム、毛皮のモフモフ感
江戸時代も今も、日本人の持つ「可愛い」感覚は変わらないのだなあと、
江戸の人々に親近感を感じさせてくれる絵ですね(^^)

子犬は、古くから吉祥の絵の題材としても描かれており、
応挙以前に仔犬が描かれていなかったわけではないのですが、
応挙ほど無垢な子犬の愛らしさを全面に魅力的に捉えた画家はそれまでおらず、
いまいちメジャーではなかった子犬を一躍人気の画題にしたのだそうです。

 


山口素絢「朝顔狗子図」 1792年/宮内庁三の丸尚蔵館

山口素絢(やまぐち そけん/1759-1818年)は応挙の弟子で、和美人図を得意としました。
この作品は応挙が在世中に描かれたもので、
当時弟子たちは「応挙風」の絵を求める人々のためにも作品を描いており、
人気のあった応挙の子犬の絵を忠実に倣った一作だそうです。

 


長沢芦雪「髑髏仔犬(部分)」 18世紀/大阪・藤田美術館

長沢芦雪(ながさわろせつ/1754-99年)も応挙の弟子です。
卓越した技と大胆な画風で、人々の意表を突く作品を描き、
46歳(数え年)で死去しました。
死因は毒殺とも自殺とも言われ、謎に包まれています。

この絵は、「幽霊・髑髏仔犬・白蔵主図」という三幅のうちの一部分です。
絵の題材は、狂言「釣狐」の元にもなった白蔵主(はくぞうず)の伝説に由来し、
髑髏は本物の白蔵主(人間)をあらわし、
子犬は、やがて偽物の白蔵主(狐)を殺すことになる犬をあらわしているのであろう
ということです。
無垢な子犬と骸骨という意外な組み合わせが、
なんともいえない不気味さを醸しだしていますね。

 


伊藤若冲「百犬図(部分)」 1799年/個人蔵

長沢芦雪曾我蕭白とともに「奇想の画家」として称せられている
伊藤若冲(1716-1800年)は、今や日本で最も有名な画家の一人といえましょう。

・・正直、可愛いというにはちょっと微妙なワンちゃんですが(;^^)
上の写真は絵の一部分で、実際は画面狭しと描かれた仔犬たちは
全部で60匹(100匹じゃないのね)、見る者を圧倒させる迫力があります。
若冲84歳、亡くなる前年の作品だそうです。すごい!

 


中村芳中「光琳画譜」より『仔犬』 1802年/千葉市美術館

中村芳中(なかむらほうちゅう/生年不詳 – 1819年)の「光琳画譜」は、
光琳風を意識した芳中の作品集です。
すっかり丸くデフォルメされた仔犬たちから、
彼のほのぼのとしたユーモラスな作風が伝わってきますね(^^)
芳中のサービス精神にあふれた笑いの世界は、
活動の基盤であった大阪という地と無関係ではないだろうということです。

 


神坂雪佳「百々世草(狗児)」 1909-10年/千葉市美術館

まるで人間の子供のように、興味津々でカタツムリを見つめる子犬。
その様子を見ているお友達の子犬も可愛らしいです(^^)

神坂雪佳(1866-1942年)は、京都市立美術工芸学校で教鞭をとるかたわら、
絵画から工芸デザイン、雑誌編集、研究まで多彩な活動を展開しました。
彼の洒脱なデザインは、今の我々が見てもまったく色あせることなく
モダンで素敵です。

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本日の参考文献はこちらです!

   


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