「没後100年 宮川香山」展に行ってきました!1

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サントリー美術館で現在開催中の、
「没後100年 宮川香山」展に行って参りました!

真葛焼(まくずやき)の創始者である宮川香山(みやがわこうざん/1842 – 1916年)は
自分が個人的に好きな陶芸家の1人でありまして、
展覧会は以前も見に行ったことがあるのですが、やはり何度見てもシビれます!

(以下、図録・チラシ・音声ガイドを参照しながら、
 面白エピソードも交えてご紹介させて頂きます)

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香山といえば、まずはやはり、超絶技巧の高浮彫からご紹介しなくてはならないでしょう。
明治時代、香山は、陶器の表面を彫刻したり、細工した造形物で装飾するなどした
独創的な技法「高浮彫」を生み出し、「真葛焼」として売り出しました。
超絶技巧の限りを尽くした香山の作品は「マクズウェア」と呼ばれて
またたく間に欧米諸国を席巻して絶賛を浴び、
万国博覧会や内国勧業博覧会で受賞を重ね、
「けだし見る者、その価を問わず購入せしめんとす」
と、値段に関係なく競って購入されたといいます。


「高浮彫四窓遊蛙獅子鈕蓋付壺」宮川香山/明治時代後期/田邊哲人コレクション

こちらは、私がたぶん個人的に一番好きな作品でございます:hoshi1:
胴部の各面の4か所、楕円形に大きく窪ませており、
その中では可愛らしいカエルさん達が思い思いの時間を過ごしています
なんともユーモラスで可愛らしく、
また細部まで精密に施された細工や模様には感嘆する他ありません。

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当時海外で、真葛焼がどれほど人気があったかを伺わせる
興味深いエピソードがあります。

明治26年(1893年)に開催されたシカゴ・コロンブス万国博覧会に、
香山は日本と中国の国宝級の陶芸品20種類以上を彫刻にして装飾した、
大きな花瓶一対を出品しました。
この作品は大変制作に苦労し、完成までになんと8年(!)もの歳月を要し、
制作が終わった後に香山は病気になってしまったほどだったそうです。

博覧会に出品した結果は、欧米人から「世界の陶器王」とまで称せられ、
名誉金牌を受賞して高い評価を得、買い手が多くつきました。
中でも2人のアメリカ人が、この花瓶の購入を巡って争うことになりました。
問題が大きくなることを懸念した香山は、一体どうしたでしょうか・・・!?
なんと現地にいた、後の2代目となる宮川半之助の手によって、
作品は粉々に叩き壊されたのだそうです!!

8年もの歳月をかけて精魂込めて作り上げた作品を粉々にしてしまうとは、
自分のような常人にはまったく想像もつかぬことであります・・・orz
その心中はいかばかりかと思うのですが、後に香山本人はこう語ったそうです。

「おかげで平和に解決できたばかりではなく、私の信用は以前にも倍して
 加えられたから、非常に愉快に思ったのである」

色んな意味で凄いです、恐るべし宮川香山!(汗)
しかし一体どんなにか素晴らしい作品だったことでしょう、
見たかったですよねえ・・

(この逸話は、「帝室技芸員逸話 花瓶を粉砕して日本魂を示す」
 『日本美術協会報告 第百十九号』明治31年 に載っているそうです)

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「高浮彫桜ニ群鳩大花瓶」宮川香山/明治時代前期/田邊哲人コレクション

もう一点、高浮彫の作品をご紹介いたします。
鮮やかに咲く桜の花や枝ぶりといい、各花瓶3羽づつ配置された鳩といい、
本当にリアルによくできています!
有識文様や全体に広がる金彩、咲き誇る黄色や赤の花もゴージャスで、
きっと外国人好みのデザインなのでしょうね。
こうした複雑な立体装飾を割れないように焼成するのは至難の技で、
香山の並はずれた技術力の高さがうかがえるということです。

明日に続きます!


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2016年3月に投稿した古本出張買取り│くまねこ堂・妻のブログの記事一覧

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