買取事例

三島由紀夫とメディア

三島由紀夫とメディア

皆様いかがお過ごしでしょうか。コトーです。

本日は、三島由紀夫についてお話してみたいと思います。私、三島についての知識がほぼない中ですが、お付き合いくださいましたら幸いです。

三島というと、皆様どのようなイメージをお持ちでしょうか。現代においては、『金閣寺』や『豊饒の海』の作者であるといった、文学者としての顔が想起されやすいかもしれません。

しかし、三島は、民兵組織「楯の会」を結成する、自衛隊に体験入隊する、また全共闘との公開討論に出向くなど、様々な行動をし、自らも行動家たらんとしていました。

その究極として、彼は1970年に、自衛隊市ヶ谷駐屯地で改憲のための決起を促した後に自決しています。

当時を生きていた人々にとっては、かなりの衝撃だったでしょう。この度、その死の直後の新聞・雑誌を多数お譲りいただく機会があり、それを実感しました。

週刊誌において三島の特集で別冊が組まれており、それが何冊もありました。たくさんの新聞も、一面で大きく扱っています。

今、ある作家が亡くなっても、その作家について同時複数の雑誌で、新聞で、このように大きく報道されることは想像できません。三島の影響力の大きさを感じます。

しかし、今回、当時の記事の数々を見て、三島はただ報道されるような受身であったのではなく、むしろメディアを利用しようとしていたとも言えるように思いました。

三島 雑誌

例えば、雑誌の写真。三島の生前のものが使われていますが、三島は肌を露出しポーズをとり、肉体美を披露しているものも多いです。載せた写真ですと、サンデー毎日と週刊現代の表紙はそのようなものですね。

またその下の週刊読売の表紙は、黒い背景に三島の顔が浮かぶように工夫して撮られています。

ここで注目したいのは、そのような写真は、道を歩いていて不意に撮られた写真などではないということです。三島は、写真を撮られていますが、肉体を鍛えてそれが映えるような服装をするなど準備をし、むしろメディアに見せたい自分を撮らせているとも言えます。そうして、雑誌の読者に、自分の意図する三島像を印象付けています。

三島 新聞

また、新聞の報道を見ると、三島の自決について「憂国」を想起していることがわかります。ブログに載せた新聞の写真では、奥のデイリースポーツに、「なまなましく『憂国』シーン地でいく」という見出しがあります。

「憂国」は、三島の小説が原作となっている映画で、三島が監督・主演して1966年に公開されました。二・二六事件を題材として、親友を討たねばならなくなった陸軍中尉が苦悩し、妻と心中するという筋です。そこでの生々しい切腹シーンは、人々の記憶に残りました。

重要なのは、「憂国」では、芸術として、その夫婦の死を描いているということです。能舞台に見立てられた美術セット、流れるワーグナーの音楽の中で、凄惨な死は美に昇華します。

「憂国」は三島が監督・主演をつとめ評判になった映画でした。ですので、三島は、自らが実際に切腹をして死ぬことで、人々が「憂国」を連想することは容易に想像できたでしょう。「憂国」と関連づけて、自分の死が報道されることも想定していたでしょう。

芸術として死を扱った映画と同じような形で実際に死ぬことで、三島は自分の死が、自身の美学であることを、人々に示そうとしました。そして、実際に、その死は、「憂国」と同様の死に方だ、などといった形で報道されました。

戦後、民主主義国家となり、戦前のような形の国家と人々との結びつきがなくなる中で、日本に生きる人々は、ある意味では自分の拠り所を失いました。国家に代わる、自分を説明するものが必要となったのです。

三島は、最終的に国家に近づき、反時代的だとされました。国家を自分の拠り所としようとしても、戦後は、戦前と違い、国家がそのようなあり方を保証することはありません。ですから、何とも脆い拠り所でしかないのです。

そのような中で、三島は、メディアをうまく利用しようとしたのではないでしょうか。何かから保証された、確固たる自分が見つけられなくとも、見せたい自分をメディアに見せることで、メディアが三島像を作ってくれるのです。見せたい自分を見せれば、三島はそういう人だとして、メディアは人々に示してくれるのです。

そのような振る舞いを続ければ、見せたい自分と本当の自分の境も、わからなくなってくるでしょう、そもそも誰も本当の自分など持っていないのですから。

メディアを意識しつつ、三島は自分の美学を構築し、自決しました。しかしどんなに美化しても、死は死です。

三島の芸術の行き着く先は死だった、そこに悲哀を感じます。

コトー

このブログを書くために、以下のものを参考にしました。

三島由紀夫文学館「三島由紀夫の年譜」https://www.mishimayukio.jp/history.html

新潮社『花ざかりの森・憂国」解説 https://www.shinchosha.co.jp/book/105041/

映画.com「憂国」解説 https://eiga.com/movie/41518/

東京新聞「三島由紀夫没後50年 楯の会1期生、元編集者…ゆかりの人々を訪ねて」2020年11月25日 17時52分 https://www.tokyo-np.co.jp/article/70374


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学年誌~あの頃の僕らにとってのワンダーランド🌈🌟~

先日は千葉県船橋市片付け業者(リピーター)様より、
🏠三島由紀夫初版本、学年誌、文学同人誌(昭和30年代)、
ギター、カメラ等をお譲り頂きました。
毎度お呼びいただきまして、誠にありがとうございます!!
今後もどうぞよろしくお願いいたします。🚙

学年誌 出張買取

本日は小学四年生1989年1月号のご紹介をさせていだきます。

 

学年誌 出張買取

巻頭一番に挟まれていたのは銀はがしのプレゼント懸賞🎁。
のむらしんぼ先生のつるピカはげ丸くんのベロ(舌)は、すごく引っこ抜きたくなりますね。

この企画のプレゼントは全てネタに全力で振り切っているモノばかりなんですが、
もう、めっちゃバカなことがしたい💦
・・・というような、日頃の欲求不満を抱える小学四年生にはピッタリかも?!
(大人びている子も勿論いますけどね。で、ほんと男子ってバカ~~とか言われるんですよ・・・)

 

その次は一月号ということで正月を意識した付録の年賀状。
学年誌 出張買取
少女時代から数多の映像や音楽チャートで活躍されている
南野陽子さんのキュートなsmileと、

学年誌では欠かせない!ミニ四駆!

ちなみに1988年頃の第1次ミニ四駆ブーム以降、現在に至るまで、
学年誌ではミニ四駆に関わる漫画や特集が必ず🔥と言って良いほど掲載されています。

 

綴じ込み両面ピンナップ型の巻頭付録は、ビックリマンとジェニーちゃん。

学年誌 出張買取

学年誌 出張買取

男の子向け半分、女の子向け半分!
といったかんじです。
どちらも細かい!!ジェニーちゃんはスタイリングと撮影、大変だったと思われます。

ジャニーズ特集は

学年誌 出張買取
光GENJIの映画デビュー、

学年誌 出張買取
シブがき隊の”解体”コンサート

学年誌 出張買取

SMAP(+平家のお二人)のスケボー講座と、
とっても豪華な企画が勢ぞろいです🎤🤩!

学年誌は当時の子供たちのエンタメ情報でぎっちぎちです!
ページを開けば開く程、子供たちの時代を取り巻いた賑やかなエンターテイメントに
臨場感が湧いてきます。

お譲り頂きましてありがとうございました!!!🐈

かこさん

 


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航空機関係の本をお譲りいただきました!

寒さの厳しいこの頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

コトーです。

先日は、即日出張買取で、航空機関係書や戦記といった古書・専門書、また初版本をお譲りいただきました。

遺品整理をなさっているということでしたが、お電話をいただいてすぐにお伺いすることができました。

お品物の中には、以下のようなものがありました。例えば、古い地図。

遺品整理 買取

当時の様子を知ることができる貴重なものかと思います。このような古い本によって昔の東京に思いを馳せ、今と比較してみるのも良いかもしれないですね。

次のような戦争に関する本も多数ございました。

専門書 買取

普段自分が手にしない分野の本も拝見し、様々な語りの存在に興味を持ちました。

他にも、ネクタイピンなどといったアクセサリも買取させていただきました。

遺品整理 買取

遺品整理 買取

ネクタイピンは、様々な色形があってきれいでした。ちらりと見えるネクタイピンにも、その人のセンスがあらわれるのですね。祖父もたくさん持っていたのを思い出しました。

くまねこ堂では古本だけでなく古道具や骨董、時計、アクセサリーなども査定対象となっておりますので、ご処分やご整理にお困りのお客様はぜひご相談くださいませ。

最後までお読みくださりありがとうございました。

コトー


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東京国立博物館で「特別展 ポンペイ」が2022年1月14日(金)~4月3日(日)の期間で開催予定です🤭

いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。

先日は東京都新宿区のお客様より絶版漫画、もーれつア太郎、ロン先生の虫眼鏡、AKIRA、SF系の書籍などをお譲り頂きました。ありがとうございます!

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東京国立博物館で「特別展 ポンペイ」が2022年1月14日(金)~4月3日(日)の期間で開催予定です🤭

皆さんはポンペイと聞いて何を思い浮かべますか?
歴史的事実はもちろんのこと、ポンペイを題材とした映画や書籍、マンガなどの創作物も数多くありますよね。
私が真っ先に思い浮かんだのはジョジョの奇妙な冒険第五部のポンペイ遺跡での戦いでした(笑)
暗殺チームの鏡のイルーゾォとの戦いの舞台がポンペイ遺跡でして、イルーゾォの厄介な能力をどう攻略していくのか、ハラハラドキドキしながら観た記憶があります(笑)

ポンペイとはイタリア・ナポリ近郊にあった古代都市です。
今から約2000年前、ポンペイはヴェスヴィオ火山噴火の火砕流によって一夜にして地中に埋もれてしまいましたが、18世紀に再発見されました。ユネスコの世界遺産にも登録されたこの遺跡では、現在にいたってもなお発掘作業が続いています。


「特別展 ポンペイ」ではナポリまで行かなくてもナポリ国立考古博物館に展示されている貴重な出土品を見ることができます!!
これはぜひ東京国立博物館に行きたくなりますね😎

また本展ではポンペイの代表的な3つの邸宅の一部を再現展示されるとのことで、2000年前の様子を肌で感じることができそうです!

さらに音声ガイドは小野賢章さんと小野友樹さんです!お二人ともジョジョの奇妙な冒険シリーズの主演、その他にも数々の人気作品でご活躍されております。ジョジョの奇妙な冒険シリーズでは小野友樹さんは第四部の東方仗助役、小野賢章さんは第五部のジョルノ・ジョバーナ役です。冒頭にもお話した第五部のポンペイ遺跡での戦いの記憶が再び蘇ってきそうです😜
そんなお二人の音声ガイドとは…これは胸が熱くなりますね…っ!

※ジョジョの奇妙な冒険 文庫版 コミック 全50巻完結セット (集英社文庫)を、現在くまねこ堂で出品しています。該当のAmazon商品ぺージ(https://amzn.to/3F7QseU)にてご注文下さい!

グッズもサンリオとコラボしていて可愛らしいです!そしてなんかちょっとオシャレです(笑)
こういうグッズ系は記念に色々と買いたくなってしまいますね🐶🙋

日時指定オンラインチケットのご予約は2022年1月5日(水)より販売開始予定です!
観覧料(税込)は一般:2100円/大学生:1300円/高校生:900円です。

展覧会公式サイト 
展覧会公式Twitter @pompeii2022

気になった方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか🙋

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くまねこ堂では古本はもちろん、CDやDVD、ゲーム類、お茶道具、アクセサリーや切手など、幅広いジャンルの商品を見ることが出来ます!

遺品整理や商品が大量の場合なども対応可能です!
ご整理やご処分にお困りのお品物をお持ちのお客様がいらっしゃいましたら、是非お電話、LINE、またはメールフォームにてお気軽にご連絡ください♪

また、お客様からの感想、レビュー、クチコミ、高評価などいただけますと、スタッフの日々の励みとなります!よろしければどうぞお願いいたします🐾

スタッフ一同心よりお待ちしております。

クウスケ


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昭和アニメーターのリアルな声が掲載された同人誌「アニメれぽーと」

先日は世田谷区用賀のお客様のお宅へ、2回目の訪問となりました。
今回は絶版文庫、コミックセット、ドラゴン桜、博多っ子純情、郷土玩具、こけし、テレホンカード、切手、古銭、香木、腕時計等をお譲り頂きました!

ご依頼主様から、大変興味深い様々なお話をお聞かせいただき、
店主・スタッフともにとても楽しく、勉強にもなりました。

この仕事をしていると、
様々な年代の方々と実際にお話をすることの重要性を、
あらためて感じます。

~~~~~~~~~~~~~

先日まで学年誌と奮闘していたスタッフです🐍
1980年代~2000年代、そして学年は小学6年生からどんどんと下級生に向かい、
最終的には「たのしい幼稚園」、
園児から更に年齢を遡り、
生まれたてほやほやの赤ちゃんとママのための
「げんき」「えくぼ」まで目を通し、
やっと学年誌、児童・幼児向け月刊誌が落ち着き、
アタマの中がうたのおねえさんおにいさんと陽気にバブバブ👶♪してきたところで
たちまち普段のような小説や全集や図録等のラインナップの整理に戻り、
急に老け込んだ気分👴になっております。
タイムスリップが激しい(笑)

そんな中で、じっくり読んでみたいお品物がございましたのでご紹介していきます。

アニメ誌 昭和同人誌 買取
映産労(日本映画放送産業労働組合)発行の
テレビアニメ隆盛期の業界の実態が所狭しと記されたテキスト誌!
「アニメれぽーと」です✨

現在ではよく「日本の世界に誇る産業=アニメ」と耳にしていますが、
そのアニメ業界は日本のブラック労働の先駆けでもあると聞いたことがあります。

emoji782.gif「アニメに生きる(アニメーターへのインタビュー)」
emoji782.gif「虫プロ倒産の真実」
emoji782.gif「下請けプロダクションめぐり」
emoji782.gif「子供の文化環境とテレビ」
‥等など、気になる見出しがいっぱいです!

創刊号には独自のアンケート調査結果が掲載されていました。
(◆以下「アニメレポート」創刊号(No.1)より)

 


令和になった今も、仕事や取り巻く環境に対しての評価、満足度について、
共感や類似の意見がある方、多いのではないでしょうか。

 

今、世の中にインターネットを通じてアクセスがしやすくなり、
沢山の方が自分の意見や個人の動向等を、ネット上の映像やテキストで残されていますね。

しかしネットの場合、
サーバーやデータ、検索エンジンの意向に沿わないものは削除されたり、
観覧可能な時限が限られていたりして、
果たして、どこまで本心を本当に共有したい人へ発信できているのでしょうか🤔

そういった意味でも、紙の媒体で現在まで保管されていたこの冊子は、
大変貴重な資料なのではないか👀?と感じました。

大切なお品物をお譲り頂きまして、誠にありがとうございました📚

 

かこさん


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推理・探偵小説等の戦後の泉貨紙(仙花紙)本をお譲り頂きました!

昨日、久々に2~3時間渋谷を散策したくまねこ堂スタッフです。
古本屋なのに全く関係ない話で恐縮なのですが、コロナ襲来以前はファストファッションのお店がごろごろありましたね。ところが、それらは、最近はほとんど見かけなくなりました😮

そんな中、渋谷センター街にあるスペイン発のファストファッションブランド、
ZARAがしっかり1戸建ての大きな路面店を維持していることに驚きました。

一方で、同じくセンター街のファストファッションブランド・Forever21が存在していたテナントは現在どうなっているのでしょうか。
そこには、スウェーデンの格安家具店・IKEAが開店していました。

どちらも意図的ではありませんでしたが、両店に入店してみて、
環境への配慮をしていることを感じました。

エコ素材、サスティナビリティ(持続可能性)、コスト削減の取り組み🌎🌳

壁にどどーんとコスト削減率が書かれていたり、
商品のタグや説明書き等のひとつひとつに、
「ウチはこんだけ!地球にイイコトやってまっせ!!!」と言わんばかりの説明が、
目が回るくらい、耳が痛くなるくらい、いや、
北斗の拳のケンシロウの手数くらい!!??
アタタタタタァー✊✊✊🔥!!と、
もうフルボッコするレベルで(誰をw)、
いたるところに「地球にやさしい」アピールが書いてあるのですね。

それくらい現代の消費者が、
店先だけで商品の価値を見定めるだけではなく、
商品の製造過程も気にする時代になったんだな~と、思いました🤔

ちなみに古本はもう昔っからめちゃめちゃサステナブル!超エコですよおっっ!!!笑
SDGs(持続可能な開発目標)を先取りし過ぎて既に世代を1周2周してまっせ~~~wwwなんてね。
(※色々な見方があると思いますのでネタとしてご容赦下さい😌)
今後も古本屋・古道具屋をどうぞよろしくお願いいたします。

 

先日は目黒区五本木・中目黒エリアのお客様より、
戦後の泉貨紙(仙花紙)本、探偵小説、横溝正史、甲賀三郎、江戸川乱歩、大下宇陀児、海野十三等、多数の書籍をお譲り頂きました!
ご依頼をいただき、ならびに車の駐車スペースのご配慮や査定完了後のご配慮等、
本当にご親切にしていただきまして、ありがとうございましたicon_redface.gif💦

お蔭様で、あいにくの雨の中ではございましたが、スムーズに書籍をお運び出来ました!!

下の画像のような感じで!!naku02.gif
沢山ありがとうございました。

戦後 古本買取

写真にも写っている通り、一部DVD等、映像メディア系のお品物もお譲り頂きましたっ✨
ありがとうございます!

ズラズラ~と沢山お譲り頂いた中には
見た目にも、いかにも古めかな?!と思われる戦後の泉貨紙(仙花紙)本もございました。


泉貨紙(仙花紙)という言葉、
普段あまり耳にしないので、コトバンクでもう今一度意味をおさらいしたところ、
下記のように記されていました。(以下、コトバンク様より抜粋)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
泉貨紙
仙花紙とも書く。 (1) 元来はコウゾを手すきにした厚手の和紙をいった。現在ではコウゾ,クワ皮,マニラアサにパルプや古紙を混入した原料から,機械でつくった和紙をいう。出版用,経本用,台帳用紙などとして利用され,特に手すきの高級品は傘紙などとしても利用されている。 (2) 木材パルプを主原料とした機械ずきの下級の印刷用紙。第2次世界大戦後の数年間は洋紙が不足していたため,洋紙の代用品として泉貨紙の製法を応用してつくったもの。洋紙の生産増加につれて生産は激減した。
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結構ぺらんぺらんで薄く、触れるだけで崩れるものもあるほど脆いので、
なかなか現代まで良いコンディションを保って保管されていることはめったにないお品物です。

ぼろぼろですが、実際に、このような本にお目に掛かれると、、
古本屋としての醍醐味を感じられます。
数ある古書店の中から、お声掛けを頂けましたこと、大変、大変、ありがたく思います。

ご家庭で大切に本棚に置かれていた書籍をお譲り頂き、ありがとうございました!🏠✨
また何か、ご整理されたいお品物がございましたら、ご相談お待ちしております!

 

かこさん

 

↓ああ、もう人気ブログランキングのバナーがクリスマス仕様に!!!
あっという間に年末です~~~💦ひぃ~~~💦
いつも高評価ありがとうございます!今後もどうぞよろしくお願いいたします。


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海の小さな生き物たちはウニに守られていた!?🐟🦐🐚

こんにちは。いつもくまねこ堂ブログをお読みいただき有難うございます。
先日は千葉県習志野市のお客様よりパンローリング、株式投資、専門書、実用書、学術書、ビジネス書などをお譲りいただきました。ありがとうございました。

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さて、先日新刊でお譲りいただきました書籍で気になるものがございましたので紹介させていただきます。
「たくましくて美しい ウニと共生生物図鑑」 著:山守瑠奈

ウニと言えば高級食材のイメージがあります。美しいバラには棘があるとでも言わんばかりに、美味しい身を棘の中に秘めたウニ…。

なんとそんなウニの棘の間には、そこで生活している小さな生物がいるのだそうです。いい隠れ場所になるのでしょうか🤔また、ウニの巣穴に一緒に暮らす生物もいるそうです。ざっくり見ていきたいと思います。

ちなみに、異なる生物が共に暮らすことを「共生」といい、その中でも宿主と共生者双方にメリットのある「相利共生」、共生者はメリットを得ているが宿主にはメリットもデメリットもない「片利共生」、共生者はメリットを得、宿主はデメリットを被る「寄生」という風に分類されます。

ウニと共に暮らす生物は、大体小さなエビやカニ、貝類などのようです。ではいくつか紹介いたしましょう。

まずはこちらの生き物。
「キンイロセトノモガイ」

よくみる「貝」っぽくは見えないですが名前に「金色」と入っているだけあり、綺麗な見た目ですね。ですがこちらは寄生型。綺麗で可愛いけれど、ウニにとってはデメリットです。ハナゴウナ科という彼らの種は棘皮動物(ウニやナマコ、ヒトデなど)を好んで寄生し、体液を吸っています。

お次は
「ムラサキヤドリエビ」
ワインレッドのおしゃれな色をしています。ウニの棘に住み、引っかかった海藻等を食べているようですね。これは片利共生のタイプです。
ウニの共生はこのタイプが多いようですが、片利共生は宿主にデメリットがあるのかを見極めづらく寄生との区別が難しいとのこと。
このエビさんにとっては、ウニに身を守っていただける上に食料にもありつけるので、いいことしかないですよね。ウニたちは一体どんな風に思っているのだろう…🦐

エビに続いて同じ甲殻類のカニ🦀
「ムラサキゴカクガニ」
画像にもある通り、ウニの口の周りにくっついていることが多いので、餌のおこぼれを食べている可能性が高いと言われているようです。しかし、口の側にはりつかれては、ウニは餌を横取りされているのも同然ですよね🤨

その他、ウニの棘の隙間を利用して暮らしている生物たちです。エビ、カニ、貝の他にも魚も住んでいるのですね😮住み着いているもの、ウニの一部を食べているもの、危険から身を守っているものなどそれぞれが様々な用途で活用しています🐟
ウニの棘は海の中の小さな生き物たちにとって、とても安全な場所と認識されているようです。しかも、ほとんど動かないし、動いても速度がとても遅いので彼らにとって最高に都合のいい場所ですよね😂ウニは文句をいうことも逃げることもできないのでどうしようもないのが何とも言えませんね…🙄

 

いかがでしたか。ウニの中にこんなにも様々な生物が暮らしているとは全く知りませんでした。ウニは小さな生物たちのアパートのような存在なんですね。陸と違って、海の中の生物を観察するのには準備が少し大変なのでなかなか知る機会が少ないです。こうした手軽な図鑑で新な発見ができるのは大変ありがたいです。ご家族で読まれてみても楽しいかもしれませんね😄💭

くまねこ堂では初版から一年以内の書籍は最低買取価格を保証しております。
本を売ることを視野に入れて購入されましたら、読み終えましたらなるべくお早めに売却されることをおすすめします。
また、古本だけでなく、CDやDVD、レコード、ゲーム類、古道具、アクセサリー、古銭や切手、万年筆など、幅広いジャンルの商品を見ることが出来ます。
遺品整理や商品が大量の場合なども対応可能ですのでご整理やご処分にお困りのお品物をお持ちのお客様がいらっしゃいましたら、是非お電話、LINE、またはメールフォームにてお気軽にご連絡ください。

お客様からの感想やレビューなどございましたらスタッフも大変嬉しい限りです。
日々の励みとなりますので、高評価、拡散等どうぞよろしくお願いいたします!

スタッフ一同心よりお待ちしております。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。


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リピーター様より新刊書の宅配買取をさせていただきました📚

こんにちは。いつもくまねこ堂ブログをお読みいただき有難うございます。
とてつもなく寒い。寒いです。今でこんなに寒いと言っていては先が思いやられますね…
トレーナーとアウター1枚とかでは少し厳しくなってきたように感じます🥶

先日、長年のリピーターのお客様より新刊書の宅配買取をさせて頂きました。
いつもありがとうございます🙇🏻‍♂️

くまねこ堂では初版から一年以内の書籍は最低買取価格を保証しております。
本を売ることを視野に入れて購入される場合、読み終えましたらなるべくお早めにご売却されることをおすすめいたします。今回は、お譲りいただいた書籍の中から個人的に気になったものを紹介させていただきます。

「ぼくはテクノロジーを使わずに生きることにした」 著:マーク・ボイル 訳:吉田奈緒子

スマートフォンやパソコンに代表されるテクノロジーは、現代人にとって手放せない存在となっています。著者のマーク・ボイルさんはそんな電子機器から離れ、それらを一切使用せず自然とともに過ごしているというのです。本書はそうした体験の貴重な報告となっています。

いや~、想像もつかないです…。とてもじゃないけど生きていける気がしない…、いや、生きられないということはないのでしょうけれども、精神的にキツくなりそうです😱

電子機器を使わないどころかトイレも手作りとは、なんてスゴイんだ…!
糞尿をバケツに溜め、分解させて野菜や果物の肥料とするそうです。
スマホから水道にいたるまでのテクノロジーを使わない生活では、他に使えるものは何でも使っていくのがよさそうですよね。

そして、湧き水利用するというのも、水道があちこちで通っている現代ではなかなかないことですね。

わたしがこの書籍の中で面白いと思ったのは、著者がナメクジを捕まえる話でした。
それは、飲み残したビールを小さな容器に入れて畑に置いておくと野菜を狙うナメクジを何匹も捕獲することができたというエピソードです。ところが、ボイルさんはなぜかナメクジを大量虐殺をしてしまったという気持ちに駆られ自分の倫理観を疑ったというのです。自分も野菜を食べる必要があるのでナメクジにそれらを食べられてしまうのは困るわけです。けれども、自分が植えたというだけでこの野菜を自分のものだとみなしているのは何かが違う気がする、というボイルさんの言葉に耳を傾ける必要があります。というのも、わたしはこの一節にふれたとき、小さな命に目を向ける著者の心の豊かさにハッとさせられたからです。

ボイルさんの自給自足生活は、なかなか簡単にやろうと思ってできる生活ではないですが、得られるものの大きさはきっと想像以上なのだろうな、と思います。こういった生活ができなくとも、ボイルさんを真似て積極的に自然に触れたり、なにか手軽な野菜をそだててみたりと、できそうなことからやってみたいと思います。その中で気がつくことがあるかもしれませんね。

くまねこ堂では古本だけでなく、CDやDVD、レコード、ゲーム類、古道具、アクセサリー、古銭や切手、万年筆など、幅広いジャンルの商品を見ることが出来ます。
遺品整理や商品が大量の場合なども対応可能ですのでご整理やご処分にお困りのお品物をお持ちのお客様がいらっしゃいましたら、是非お電話、LINE、またはメールフォームにてお気軽にご連絡ください。

また、お客様からの感想やレビューなどございましたらスタッフも大変嬉しい限りです。
日々の励みとなりますので、高評価、拡散等どうぞよろしくお願いいたします!

スタッフ一同心よりお待ちしております。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 


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怖そうなあの人、偉そうなあの人も実は…?

こんにちは。いつもくまねこ堂ブログをお読みいただきありがとうございます。
12月に入りました。冬休みがもうすぐ控えていたり、クリスマスや様々な行事が多く、師走というだけあって忙しい月ですよね。年末の大掃除のお片付に手が回らなくて困っているというお客様、ぜひくまねこ堂にご相談くださいね😉

さて、最近入荷いたしました書籍で気になるものがございましたので紹介させていただきます。

「やばい日本史」 監修:本郷和人

日本史、と聞くと苦手意識を持つ方や、ああ、学生の頃好きじゃなかったな、なんて思う方もいらっしゃるでしょう。覚えることは沢山だし、ナントカの乱だの、ナントカの変だの紛らわしい出来事は多いし、将軍15人も覚えられないし…。私もそんな風に思っていたことはありましたが、人物の物語や逸話などを知ると、意外と面白かったりするんです。
こちらの書籍で紹介されているのは、偉人たちの「ダメなところ」「残念なところ」です。歴史の教科書に登場するスゴイ人たちもみんな同じ人間ですから、残念な部分だってもちろんあります。そこがまた人間らしさや親近感を感じて面白いところだったりします。
今回は私が個人的に気になった方々を数名ピックアップいたしました。

まず始めは「武田信玄」。信玄といえば「敵に塩を送る」などの有名なエピソードがあったり、戦国武将の中でも人気の高い人物ですよね。そんな信玄の恥ずかしい話が残されております。
信玄には春日源助というお気に入りの美少年がいたそうなのですが、弥七郎という別の男に浮気をしてしまい、それがバレて春日源助に送った言い訳の手紙が残っているのです。
明治以前の日本では、同性愛や同性の恋人がいることなど大して珍しいことではなく公然と行われていたことなので、現代人の感覚からすると不思議な感じがするかもしれませんが、恐らく性自認が今でいうバイセクシャルだという人が多かったのだと思います。
しかし、地位もある強い武将が必死に浮気の言い訳を書いていると考えると笑えてしまいますよね。実際にどんな見た目だったかはわかりかねますが、自分の中で武田信玄のイメージはゴツい男の人なので、そんな人が必死に言い訳をして思い人のご機嫌取りをしている…と想像すると面白いです😂家では尻に敷かれるというタイプだったのでしょうか。

続いても戦国時代の武将、「伊達政宗」です。独眼竜で知られる彼もまた、有名な逸話をいくつも持っており、人気のある武将ですよね。
こちらで紹介されているのも有名なエピソードですね。死装束で謝罪に行くという大胆さ…。こちらの画像にもある通り、もはやふざけているのでは…?ともとれる行為ですが、たしかにここまでされては驚きのあまり怒る気すら失せそうですよね。皆さんももし誰かを怒らせてしまった時には死装束で謝罪に行ってみてはいかがでしょうか。もしかしたら許されるかもしれませんよ😆(許されなくても責任は取りません⚠)
ちなみにですが、伊達政宗といえば眼帯というイメージがあり、ドラマや漫画などの創作作品では政宗の代名詞ともいえますね。しかし、実際の伊達政宗は眼帯をしていなかったそうですよ。

時は江戸時代に変わりまして、「西郷隆盛」です。幕末の志士の名前を挙げなさいと言われたら、序盤に名前が出そうな人物ですよね。
若者から人気があり先生と慕われることもあった西郷ですが、戦争が終わると時間ができ、暇を持て余した結果太りすぎてしまいます。上野公園に犬を連れた西郷の銅像がありますが、あれは肥満解消のために飼いだした犬なのだとか。人って、暇になるとついつい何か食べちゃいますよね…。分かります。家にいるとき、お菓子があれば無意識に食べてますもの。去年は緊急事態宣言などで外に出られないことが多かったですよね。それと同時に「コロナ太り」なんて言葉をよく耳にしましたが、確かに、家にいて暇だと食べちゃうんですよ。薩摩の名のある志士でもそうなんだから、私たちだってそうなるものなのかもしれません(下手な言い訳)

最後はこちら。明治の文豪、「夏目漱石」です。日本人で名を知らぬという人はいないに等しいし、国語の授業等でも夏目漱石の作品がよく使用されます。そんな大人気作家の残念なところはというと、抜いた鼻毛を原稿用紙に貼り付けるという変な癖があったのだそうです…。文豪と呼ばれる人たちにはあまりにもぶっ飛んだエピソードが多いですが、こちらもまた、なかなかに強烈です。封筒を開けて出てきた原稿に鼻毛が貼り付けられていたら、私ならビックリして叫んでしまうかもしれません😨鼻くそをほじるとか食べるとかよりも、なんかヤバい気がしますよね…。天才の頭の中って一体どうなっているのだろうと、つくづく思います。

いかがでしたでしょうか。誰もが知る偉人の人間らしい(?)一面を知ると、もっと歴史が面白く感じますよね。すごい人、偉い人、頭のいい人だって、みんな人は人。欠点や変な癖などは持っているものなのです。そう考えるとすごくチャーミングに思えません?いつも怖い顔したあの人も、実は鼻毛を抜く癖があるかもしれない…と想像するだけで、毎日楽しい気がします🤣

 

くまねこ堂では古本だけでなく、CDやDVD、レコード、ゲーム類、古道具、アクセサリー、古銭や切手、万年筆など、幅広いジャンルの商品を見ることが出来ます。
遺品整理や商品が大量の場合なども対応可能ですのでご整理やご処分にお困りのお品物をお持ちのお客様がいらっしゃいましたら、是非お電話、LINE、またはメールフォームにてお気軽にご連絡ください。

また、お客様からの感想やレビューなどございましたらスタッフも大変嬉しい限りです。
日々の励みとなりますので、高評価、拡散等どうぞよろしくお願いいたします!

スタッフ一同心よりお待ちしております。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。


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経済学の歴史や食料危機に関する書籍を紹介します。

先日は東京都中央区リピーター様よりご依頼を頂きました。毎度誠にありがとうございます。今後もどうぞよろしくお願いいたします。

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 11月29日付のニュースを確認しておりましたところ、東京株式市場の日経平均株価が続落との報道が目に止まりました。ロイターの記事では、「南アフリカで確認された新型コロナウイルスの変異株『オミクロン』の感染拡大が引き続き警戒された」ため、株価が下落したと報じられています。ただ、今回の出来事は、感染拡大が懸念されたためというより、感染拡大に対する措置によって景気が悪くなる、という思惑での値動きのようにも感じます。株式の売買で儲けようなどと夢にも思わない庶民からすると、何に一喜一憂しているのか、お金持ちの考えることはよくわからないなぁ、という気分です。

※日経平均は新型コロナ変異株への警戒で続落、円高も重し(ロイター、2021年11月29日)
https://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-close-idJPKBN2IE0F0

 経済とはよくわからないなぁ、とお嘆きの方には、最近入荷しました以下の画像の本、牧野邦明『新版 戦時下の経済学者――経済学と総力戦』(中央公論新社、2020年)をおすすめします(現在出品中です! https://amzn.to/3EiyWEk)。「経済学」という単一の理論があり、それに基づいて素人を寄せ付けない確固たる結論が用意されている…わけでは全くありません。各人がそれぞれ直面した問題に向き合って苦闘してきた足跡が「経済学」あるいは「経済政策」の歴史なのです。このことは、本書の的確な序章の通りです。もしかすると、あなたがこれから始めることが、振り返ってみて「経済学」と呼ばれるものになっているかもしれません。

牧野邦明『戦時下の経済学者』

 たとえば、スーパーのお菓子やパスタなど、1パッケージあたりの分量が減っているのに、値段はそのままという事態に直面すると、これは経済問題だ!という気がしてきます。

 食料の問題は、先日アップしたブログとも関係がありますので、それを再度紹介します。同投稿では、今年11月の中東のアフガニスタンにおける干ばつが深刻化しているという報道とあわせ、アフガニスタンで農業用水の確保のための活動をされていた中村哲さんついて、若干述べました。この投稿の基礎となったのは、最近入荷した『ペシャワール会報 1983~2004合本』です。下記URLよりご覧ください。

※ペシャワール会編『ペシャワール会報 1983~2004合本』(石風社、2004年)が入荷しました~中村哲さんが遺した農業用水確保のためのガイドラインについての報道を受けて(くまねこ堂古書ブログ、2021年11月27日)
https://www.kumanekodou.com/28087/

 食料問題、といっても日本に生きるわたしたちは、商品の値段に一喜一憂しがちです。しかし、そもそも農作物はどのようにして育てられ、運ばれ、加工され、私たちが目にする商品となって売られているのでしょうか。それら作物が商品となるまでの過程を、買い物中に考えることはほぼありません。あるいは、成分表示を凝視すると、その商品の背景が手に取るようにわかるという猛者はおられるでしょうか?

スーザン・ジョージ

 農作物が商品となるまでの一連の過程については、現在出品中の本ですが、スーザン・ジョージ『これは誰の危機か、未来は誰のものか――なぜ1%にも満たない富裕層が世界を支配するのか』荒井雅子訳(岩波書店、2011年)(https://amzn.to/3lqiTN3)が参考になるかもしれません。スーザン・ジョージは、『なぜ世界の半分が飢えるのか―食糧危機の構造』小南祐一郎、谷口真理子訳(朝日新聞出版、1984年)の著者として馴染みのある方もおられるでしょう。食料が足りない、のは単に生産される作物の量が足りないのでしょうか。そうではないであろうことが、上記2冊の深刻な不平等を表現したタイトルからうかがえます。

 このように述べると、農作物が商品であることをやめれば良いのか、と主張しているように思われたかもしれません。私はいったん、そのように考えましたし、現在の食品経済に大きな不平等があるのはたしかです。しかし、最近ブログで取り上げ続けているアフガニスタンの状況をふまえると、農作物を商品にしてはいけないなどというのは、極論にすぎないことがわかりました。アフガニスタンは、食料も輸入に頼っていますが、現在油田が発見されていないことから、エネルギー資源も近隣諸国に依存しています。輸入には当然代金の支払いが伴いますが、その代金の一部をアフガニスタンは、ドライフルーツなど食品輸出でまかなっています。こうした食料を得るために食料を売るという現実があるのです。エネルギー資源と食料を輸入に頼っているのは、日本もそうなのですから、国家として食料を得るために食料を売る現実は、けっして他人事ではありません。 

ドレーズとセン『飢餓と公共行動』

 飢餓はなぜ起こるのか、そして平等に食料を手にするにはどうすればよいのか論じた本には、安易に結論を決めつけない粘りと、不公正に対する明白な怒りがあわさり、読者を圧倒する内容となったものがあります。その例としては、上掲画像のジャン・ドレーズとアマルティア・セン『飢餓と公共行動』(オックスフォード大学出版、1989年)が挙げられます。私たちは、なるべく安く多くの食品を求める消費者かもしれませんが、農作物の収穫、そしてそれが商品として売られる一連の流れのどこかで働く人々のことを忘れてはいないでしょうか。こうした異なる利害を抱え込んでなされた考察こそ、ドレーズとセンの研究を読む際に注目すべき点なのです。

 食料の平等に向けて知らなければならないこと、考えなくてはならないことは山ほどあります。その一助として、現在では入手困難な書籍が、古書の流通という形で皆さまのお手元に届くようなことがありましたら幸いです。

小野坂


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